ルール和訳公開の是非(2)ヤフオクでの利用
前回のエントリーで、何人かの方と意見を交換しているうちに、ルール和訳公開の是非は主に2つの論点に絞られることに気付いた。
1.国内ショップへの影響
2.ヤフオク転売の評価
前回の考察は1に関するもので、そこまで義理立てなくとも国内ショップは大丈夫だという意見を紹介した。今回は2について。
ヤフオク出品者は大きく分けると放出と転売の2種類がある。前者は、遊ばなくなったゲーム(諸事情で未プレイということもありうる)を、収納スペースの都合などで出品するもの、後者は、自分では遊ぶつもりがないゲームを、海外から個人輸入してそのまま出品するものである。「転売」というとネガティブな響きがあるので、単に販売でもよい。
放出ではあまり問題にならないが、転売で公開ルール和訳をあて込むのは、「他人のフンドシで相撲を取る」みたいな道義的な批判がある。しかし私は、ゲーム供給の観点から、そのようには受け止めていない。
ヤフオクでゲームが売れる一因として、品切れや販売延期などで国内ショップの供給が追いついていないことがある。そういった機会損失をヤフオクが補って、ヤフオクがなければ手に入らなかったゲームが国内に投入されるのは、基本的によいことだと思う。
ルール和訳は、輸入の敷居を下げる。私がルール和訳を公開しているのは、面白いのでたくさんの人に遊んでほしいという思いからである。国内ショップで扱っていなかったり、海外でも絶版だったりするゲームが少なくない。多くの人はその時点で入手を諦めなければならず、私は単なるスノビズムを晒しているだけになってしまう。
しかしヤフオク出品者は、どこからともなく、しかも何個も探し出してきて出品してくれる。中には人気が高じてショップで一般発売されることもある。こうして広めてくれるのはありがたいことで、そのためにルール和訳を活用して頂けるのは嬉しい。
一方で、ヤフオクでの購入は個人輸入よりずっと楽なため、国内ショップの顧客が流出しやすいという問題はある。1に戻るが、ヤフオク出品の増加が国内ショップにどれくらい影響を及ぼすかは、また別に考えていきたい。また、転売は法的に問題ないのかも調査中である。
・ルール和訳公開が国内ショップに与える影響
ドイツ年間ゲーム大賞2011に『クゥワークル』
ドイツ年間ゲーム大賞は、新作の中からジャーナリスト・評論家の選考によって毎年選ばれている賞。世界で最も権威ある賞として知られており、受賞すればドイツ語圏だけで30万セットの売り上げを確実にする。
授賞式にはノミネート作品のデザイナー、メーカー、イラストレーターが出席し、全国放送局のドイツ公共放送連盟(ARD)と第2ドイツテレビ(ZDF)も取材に訪れた。
審査員は授賞式の前夜に投票して大賞を決定する。33回目の栄誉に輝いた『クゥワークル』は、マークと色を揃えてタイルを並べ得点するタイル配置ゲームで、オリジナルはアメリカのメーカーが2006年に発売し、ドイツでは「イージープレイ」シリーズなどで知られるシュミット社が2010年から取り扱っている。ドイツ国外オリジナルの作品が受賞するのは、『ドミニオン』『ディクシット』に続いて3年連続。
難易度の高いボードゲームが多く発売され、愛好者から評価されている現状を受け、今年初めて、エキスパートゲーム大賞が制定された。第1回目に選ばれた『世界の七不思議(7 Wonders)』は、フランスのデザイナーA.ボザの作品でベルギーのレポス社から発売された。日本ではすでに一般発売されているが、高い人気を受けて来月にはついに日本語版が発売される。
残るドイツ年間キッズゲーム大賞の発表は7月25日にハンブルクにて。
・Spiel des Jahres e.V.