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『クォーリアーズ!拡張2:終末決戦』日本語版発売

アークライトは26日、ダイスデッキ構築ゲーム『クォーリアーズ!』の拡張第2弾『終末決戦(Quarmageddon)』を日本語版で発売した。2〜4人用、14歳以上、30分、3360円。遊ぶためには『クォーリアーズ!』の基本セットが必要となる。
『魔神到来!』に続いて今年アメリカで発売ばかりの拡張セットが早くも日本語版になって登場。原題は『クァルマゲドン(クォーリアーズ+ハルマゲドン)』で、世界の終末にモンスターたちが暴れまわる。新しいパワーカード、モンスターカード、魔法カードと、対応するダイスが48個追加。箱が横に大きくなり、基本セットから拡張2まで全て収納できる。
またダイスを休眠パイルへ移す前にダイスを置いておく場所として、新たに「消耗パイル」を設けるなど、分かりにくかった部分にルール変更を施し、専用シートも付属する。『クォーリアーズ!』を末永く遊びたい人のための一品だ。


アークライトゲームズ:クォーリアーズ!拡張2
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SdJノミネート作品遊び比べ

去る21日に発表されたドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres)のノミネート作品を遊び比べる機会にあずかった。審査員の考える「できるだけすべての人が楽しめるゲーム」とはどのようなイメージなのかを追った。

左側がドイツ年間ゲーム大賞、右側がドイツ年間エキスパートゲーム大賞のノミネート作品
簡単なゲーム紹介から。『ロバの橋』は、ストーリーを作ってタイルを記憶するゲーム。ランダムに引いた3〜5枚のタイルを、みんなで暗記する。暗記するタイル枚数は4人プレイでも合計57枚。羅列するだけではとても覚えきれない。そこで親がでっちあげたストーリーを手がかりにして覚えやすくする。インパクトのあるストーリーほど、覚えてもらいやすい。即興でインパクトのあるストーリーを作れるかどうか、そしてそれをヒントにしてタイルを思い出せるかどうか、独特なゲームである。デザイナーはドラとリンデ。
『キングダムビルダー』は、六角形のマスを使った陣取りゲーム。カードで指示された地形にコマを置いて、得点カードの条件をできるだけたくさん満たせば得点になる。地形の指示はランダムなので、毎手番追加アクションを可能にする建物でどうカバーするかがポイントだ。また建物は8種類から毎回4つ、得点パターンは10種類から毎回3つしか登場せず、その組み合わせによってさまざまな展開が生まれる。それでいて1ゲームは45分ほどにまとめられていて、サクサクプレイできる。デザイナーは『ドミニオン』のヴァッカリーノ。
『ベガス』は、1〜6のテーブルにサイコロをビッドして、お金を稼ぐギャンブルゲーム。全員8つのサイコロをもっていて、自分の番にはサイコロを振り、1つの目を選んでその目が出たサイコロを全部置かなければいけない。全員が置き終わった後に、テーブルごとにバッティングしていない上位からお金カードを取る。テーブルのお金は全て5万ドル以上あるが、高額紙幣が1枚しかないか、安いものもあるかで置き方に迷う。デザイナーはドーン。
箱の大きさは写真の通りで、『キングダムビルダー』が特大(正方形で厚さもある)、『ロバの橋』がLサイズ、『ベガス』はSサイズである。ルール分量もほぼこれに準じており、『キングダムビルダー』が一番多く、『ベガス』が一番少ない(ついでにいえば値段もそう)。
ただしルールの分量とゲームの難易度は別の話である。『ロバの橋』は記憶ゲームで、ずっと頭を使い続ける。しかも1回間違っただけで、それまでに貯めた得点が根こそぎ奪われるのがせつなく、本当に得点が増えない。プレイ時間も自ずと延びる。一番の重さを感じるのは『ロバの橋』である。
ゲーマー向けという観点では、種々の得点方法がある『キングダムビルダー』が一番で、サイコロの選択肢に悩みどころがある『ベガス』が2番、記憶ゲームは得意不得意が出やすいので敬遠されるかもしれない。もっとも、『キングダムビルダー』はゲーマーズゲームというほどでもなく、物足りなさを感じる人も多いだろう。
一般向けには『ベガス』が一番とっつきやすい。ルールが簡単で、サイコロ運もあり、時間も一番短い。それゆえに「これがあのアレア(『プエルトリコ』や『ドラゴンイヤー』でゲーマーに人気のメーカー)なのか?」という声が多く聞かれるほどである。一方『キングダムビルダー』は建物の追加アクションをうまく使えるかどうかは経験や思考能力が問われる。
こうして比べてみると、ノミネート作品は同じ系統が重ならないようにバランスよく選んでいることが分かる。どれを大賞に選んでも、百人中百人が楽しめるとは限らない。だとすれば、大賞がイマイチだった人はノミネートをどうぞということなのだろう。
大賞の発表は7月9日。