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R.クニツィアの名作カードゲーム『マネー』日本語版、8月31日発売

cosaicは8月31日、ドイツの人気ボードゲームデザイナー・R.クニツィアの名作カードゲーム『マネー(Money!)』日本語版を発売する。イラスト・A.ドイッセン、アートワーク・タンサンファブリーク、3~5人用、10歳以上、20~30分、1800円(税別)。

オリジナルは1999年、ゴルトジーバー社(ドイツ)から発売された作品。ドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされ、アラカルトカードゲーム賞で10位に入賞している。その後2008年にイーグル・グリフォンゲームズ(アメリカ)からリメイクされ、当時は輸入版が日本でも流通していた。

お金でお金を競るという異色のオークションゲーム。最初に持っているわずかな手持ちの紙幣を使い、よりたくさんの、より価値の高い紙幣へと交換していく。手札を出して一斉に公開し、金額の多かった人から選んで取っていく。場札も手札もそれぞれセットで取引し、自分が集めている通貨が入っているセットを取り、要らない通貨を出す。こうして同じ紙幣を集めることで価値を高める。

欲しい通貨が入っているセットを他の人も狙いそうならば、自分のコレクションを崩してでも競りで勝つようにしなければならない。どこまで崩せば勝てるのか、最後に得点になるリソースを使った競り特有の悩ましさがある。他人の動向にも気を配り、今がどの紙幣の買い時なのかを見極めるのは、取捨選択のジレンマや競りの楽しさを存分に味わうことができる。

イラストは『ルールの達人』や『ペアーズ』などを手がけてきたアーサー・ドイッセン。紙幣カードは縦長の大判サイズで、ドル、ポンド、日本円など実在の紙幣をモチーフにし、遊び心いっぱいに仕上げている。

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エッセン・シュピールの成長

アナログゲームのイベントとしては世界最大規模の「シュピール(SPIEL)」が、今年も10月にドイツ・エッセンで開催される。
1983年に市内の市民学校を会場に開かれた第1回の規模は出展12団体・来場者5000人。その規模は年々膨れ上がり、35回目を迎える今年は出展1100団体、来場者17万5千人が見込まれている。数年前までは出展750団体、来場者15万人といわれていたが、ここ2~3年で急激な成長を見せている(下図)。

会場の広さ(㎡) 出展者数 来場者数
2002 39000 573 148000
2003 39000 612 150000
2004 39000 690 149500
2005 43000 723 144000
2006 43000 730 151000
2007 44000 758 150000
2008 44000 731 150000
2009 44000 763 152000
2010 44000 786 154000
2011 44000 805 154000
2012 44000 827 149000
2013 48000 828 156000
2014 58000 832 158000
2015 63000 910 162000
2016 66000 1020 174000
2017 72000 1100

(主催者発表に基づく)
グラフを見ると出展者はうなぎのぼりだが、来場者は10年間、ほぼ15万人を維持していた。それがこの2~3年で2万人積み増したのは、近隣の国からの来場者が増えたためであると見られる。
第一に、ドイツの出版社に英語を話せるインストラクターが増えた。かつては英語でルールのインストを求めると誰かを呼んできたり、断られることさえあったりしたが、現在はお願いしなくても英語でインストしてくれる。これは非ドイツ語圏からの参加者が増えていることを示すものである。U.ローゼンベルクも以前は英語でインタビューするとたどたどしくなっていたものだが、今はすっかり慣れている様子だ。
第二に、ホテルが取りにくくなった。昨年泊まったホテルでは、デンマーク人が百人近くでツアーを組んでいるという話を聞いた。以前はエッセンから日帰りできる範囲内でドイツ人が来場していたが、外国となるといくら近隣といっても日帰りというわけにはいかない。
第三に、会場内で来場者同士がドイツ語以外の言語を話しているのを耳にする機会が増えた。以前はいかにもゲーマーという雰囲気の人たちばかりだったように思われるが、現在は家族連れ、カップルも多い。ドイツ周辺でボードゲームの愛好者が急増していることを伺わせる。その中から見れば日本人参加者は微々たる割合だが、年々増えているのは確かで、おそらく100人以上になっているだろう。
出展者の出身国も一昨年の41カ国から50カ国になっており、アフリカや南アメリカからも出展するようになった。世界的な発信地として、エッセンの存在感は増すばかりだ。