コンコルディア(Concordia)

9つの職業で拡大再生産
2000年前、地中海沿岸を統一した古代ローマ帝国を舞台に、ライバル関係にある王朝を率いて、神の栄光を勝ち取るゲーム。シュピール’13のフェアプレイ人気投票で2位に選ばれた。『ナヴェガドール』などロンデルシステムが代名詞だったゲルツが、新しい境地を開いた。
コンコルディア
ボードは、2~4人用のイタリアマップと、3~5人用の地中海マップがある。このマップを見て、地政学的なゲーム(陣地を取ったり取られたり)を連想していたが、戦争のない平和なゲームだった。その代わり、効率よく資源を集め、各地に家を建てる手腕が問われる。
また、長時間戦略ゲームの常としてルールの多さが挙げられるが、何とこのゲーム、ルールは4ページしかない。しかもその大半はカードの説明である。インストが短くて済むのは大きなメリットだ。
さてゲームのシステムは、デッキ構築である。自分の番には1枚カードを出して、その効果で資源を集めたり、集めた資源で家を建てたり新たなカードを買ったりする。ただしデッキ構築といっても手札上限はないし、シャッフルもしないし、毎回ディスカードして補充するわけでもない。新たに手に入れたカードは手札に入り、使ったものが捨て札になり、「護民官」というカードを出したときに捨て札を全部回収する。
カードは9種類。「建築士」は、入植者(陸専用)か船(海専用)を移動して、移動先で資源とお金を払って家を建てる。「長官」は属州を1つ選び、そこにある全ての家で資源が生産される。「商人」は余った資源を売却し、足りない資源を購入する役目。こうして資源を揃えたら、また「建築士」で家を建てる・・・基本はこの3つだけで拡大再生産が進んでいく。
「護民官」で捨て札を回収するのに1手番かかるので、この3種類はたくさんもっていたほうがよい。そこで新たなカードを獲得するのが「元老議員」と「執政官」。こちらも資源が必要で、家を先に増やすか、カードを先に増やすか悩むところだ。
また、このゲームを味わい深くしているのが「外交官」。これはほかのプレイヤーが使ったカードをコピーできるもので、特定のカードが足りないときに重宝する。うまく便乗できるかタイミングを見計らおう。
このほかに、拠点となる入植者か船を増やす「入植者」と、特定の資源を一度に生産する「専門家」がある。
さてカードを増やしていくのには、捨て札回収を少なくするほかに、もう1つ大事な意味がある。それはゲーム終了時の得点。各カードには6種類の神様の名前が書かれており、それぞれたくさん集めるほど得点が膨らむのである。
例えばジュピターは、家の数だけ得点が入る。ジュピターのカードが2枚あれば2倍、5枚あれば5倍だ。同様に、家を建てた属州の数、生産できる商品の種類、入植者と船の数などを得点にする神様がいる。カードを買うときには、自分がどの方面で得点を伸ばせそうかも考えなければならない。
誰かが家を全部建てるか、カードが売り切れたらゲーム終了。神様の得点と、終了フラグを切った人のボーナスを加えて勝利点の多い人が勝ち。
3人で2時間ほど。ルールが短いのにどうしてそんなに時間がかかるかというと、セットコレクションが厳密だからである。どの都市に家を建てるか、どのカードを購入するかによって必要な資源が変わってくる。特に「商人」では、計画的に売買しないとすぐに後悔することになる。「道具とレンガはここに家を建てるのに使って、ワインとレンガも家を建てるのに・・・いや待てよ、その資源があったらこのカードとこのカードも買えそうだな、でもそれには食料が足りない・・・」脳汁が出まくり。鴉さんが家を全部建てて終了フラグ。私は家がそこそこあったのでジュピターを増やす作戦だったが、食料を生産できる都市がなく、入植者を作らなかったのが後に響いて広がりを欠いた。ジュピターで大量得点したものの、鴉さんの終了フラグボーナスで1点差の敗北。神尾さんはまんべんなく得点したが突出したものがなく3位。
「ここであのカードがあれば!」と思うことが多かったが、カードがあっても資源が足りず、カードも資源もあっても今度はお金が足りずと、ぎりぎりの状況でゲームを進めるには知恵を絞らなければならない。よく考えると、カードを使う順番の工夫や「外交官」の使用で一気に開けることもある。まだまだ上達できると思わせられるゲームである。
Concordia
M.ゲルツ/PD出版(2013年)
2~5人用/12歳以上/100分
ニューゲームズオーダーから一般発売予定

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