シティ・タイクーン(City Tycoon)

物入りでカツカツの都市経営
昨年11月、東京・三鷹のボードゲームショップ、テンデイズゲームズが相次いでポーランドのメーカーと代理店契約を結んだ。ドイツを中心としてきたボードゲームのトレンドは、西側のフランス、東側のチェコ・ポーランドに拡散している。
ポーランドの代表的なメーカーであるレベル・ポーランドは、登山ゲーム『K2』の人気で知られるようになった。国内では『世界の七不思議』『モダンアート』『スモールワールド』などのポーランド語版を扱う、日本でいえばホビージャパンのようなメーカーである。世界の最新トレンドを熟知して、オリジナル作品を作るというパターンは、他国にも見られる。
『シティ・タイクーン』は近未来都市をタイルで広げ、物資を輸送して勝利点を増やすゲーム。タイル配置、ピック&デリバリーといったオーソドックスなシステムを使いつつ、絶妙なバランスでシビアなマネージメントを楽しめる。このゲームの中心は、カツカツのお金をどうやりくりするかというところにあるようだ。
シティ・タイクーン
各ラウンドは、タイルのドラフトから始まる。各自配られた6枚から1枚を選び、残りを隣の人へ。かわって隣の人から渡された5枚から1枚を選び…こうして6枚のタイルを選ぶ。『世界の七不思議』に見られるドラフト方式で、自分の戦略に合ったタイルを集められるようになっている。
次にタイル配置。順番に1枚ずつ、場にタイルを置いて建設するか、タイルを捨てて代わりにプラント(資源の源)を建設するか、何も建設せずタイルを捨ててお金をもらうか。建設するときは、タイルに記されたお金を払わなければならない。タイルもプラントも、後から出てくるものほど効果が高く、値段も高い。お金は常にカツカツで、タイルを捨てまくってお金をもらい、やっと建設できるようになることも。
さてタイル配置が終わると、今度は建物の稼働である。順番にプラントから資源を自分の建物に運び、収入や得点を得る。資源は水(青いコマ)と電力(赤いコマ)がプラントで発生し、それを別の建物まで運ぶと商品(黄色いコマ)ができる。水や電力のままでも収入や得点になるが、商品にかえればそれだけ高く売れるようになる。
ここで重要になるのがタイルの位置。資源は早い者勝ちでなくなるのと、建物の効果によって隣接する建物の得点が上がるほか、他人のプラントから資源を購入する上で位置取りが大きく左右する。購入した資源を自分の建物に運ぶとき、他人の土地を通れば通行料が発生するので、むやみに遠い所からは買えない。それを見越してプラントや建物を配置し、利益を出すのはなかなか難しい。
タイルは4時代でグレードアップし、値段も上がっていくので乗り遅れないようにしたい。旧時代の建物から速やかに乗り換えられるような配置が勝敗を分ける。
江別のゲーム会で4人プレイ。建物にセットでついてくる湖や緑地を使って、お互いに距離を取り合う展開。建物のコンボと商品の安定生産で順調に得点した西宮さんが先行したが、後半に、佐藤さんと相乗りして高得点の建物エリアを作った筒井さんが逆転1位。私は旧時代の建物にしがみつくしかなくなってジリ貧になり最下位。もう少し、他人の建物やプラントを利用する位置取りをしたほうがよかったかもしれない。プレイ時間約2時間。
所持金と建物のコスト、アイテム配達の収入と支出の勘定、さらにタイルを置く位置と使う順番と、多岐にわたって頭を使う。タイルの値段と所持金を見比べて費用を計算し、1金だけ足りず悶絶することも多い。金策も含めて、終わってから「もっとこうすれば」という思いがふつふつと湧いてきた。
City Tycoon
H.バルトス、L.S.コワル作/レベル・ポーランド(2011年)
2〜5人用/10歳以上/75分
テンデイズゲームズ:シティ・タイクーン

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