エッセン3日目

いまだに時差ぼけが直らないのか、早朝に目が覚めてしまったので神尾さんと軽く『乗車券北欧マップ』を遊ぶ。機関車カードの使い勝手が悪くなり(通常路線では使えない)、その分色を揃えにくくなったものの、ルートは比較的多いので2人だとあまり苦しくない。地名の読み方がよく分からないところを除けば、十分楽しめるゲームである。
会場に行くともう入り口から人がひしめいていた。土曜日になると人出はすごいことになる。通路は混雑してなかなか前に進めない。床で遊ぶ人が増え、人気ゲームに人が殺到し、そういうゲームに限ってプレイ時間が長いためなかなか空かない。広いホールの空気も薄くなる。そんなわけで早めに退出することにした。


カーヴム(Cavum / QWG)
クラマーがオランダのメーカーから発表した作品は、山に穴を掘って宝石を集めるタイル配置ゲームである。六角形のタイルにはトンネルが描かれており、道がつながるように置く。その上に発掘タイルを置くと宝石が出てくる。最後に、予め置いてあったキューブからキューブへ一筆書きで進みながら宝石を集める。ほかの人のキューブは通れないので、うまくブロックして自分だけの発掘現場を作るのがポイントだ。集めた宝石は、競りや契約カードで得点にできる。手持ちの契約カードに従って、計画的に必要な宝石を集めなければならない。これが基本だが、ほかにも手番順の競り、ダイナマイトによる爆破、街からの得点など、細かく作りこまれている。積極的に初手番を取った能勢さんが宝石をかき集めて1位。すごく考えるゲームである。
ウィンドリバー(Wind River / アルゲントゥム)
今年のニュルンベルクで出展されていた作品がようやく製品化となった。バッファローとともにゴールを目指す情報完全公開ゲーム。手番にはまずバッファローを進める。そして自分のテントのマスにバッファローがいればセーフ、いなければキューブを1個払う。その後でテントを移動させる、余剰のバッファローからキューブを得る、キューブを使ってテントを増やすなどから1つ行う。ほかの人より前にテントを置かないと、どんどんバッファローを持っていかれてしまうので、先を争うような展開になる。能勢さんがゴール間際に真っ先に入り、皆が連れてきたバッファローを独り占め。その余裕で新しいテントを作り、次々とゴールさせて1位。神尾さんもたくさんテントを作ったが、途中で食料がなくなってしまった。展開は早いがシビアである。
フェアプレイの人気投票はドミニオン、マチュピチュ、カーヴム、コムニ、ウィンドリバーの順。明日で結果が確定する。
ここでヤポンブランドに寄って、ちょうどウドさんが来たのでゲームを説明する。今朝着いたという澤田さんもいらっしゃった。澤田さんの『ディフェンダーズ・オブ・クレイアート』と、『ロボトリー』がプレイ卓の人気作品のようだ。
帰りにマタゴーに寄って、今回一番気に入った『ジャイアント』を買ったところ、デザイナーのヘッセン氏が箱裏にサインしてくれた。しかもモアイの絵まで丹念に描いて、私の名前まで入れてくれる。ドイツ人が、シュリンクの上にサインしてと言った話で笑いながら、こういうのがエッセンでゲームを買う醍醐味なんだなと思った。メルスィ、ボク!(ありがとうございます)
今日は午後から観光する予定でいた。行き先はツォルフェアライン炭鉱跡。エッセンが誇る世界遺産である。駅前の観光案内で聞いたところ、中央駅から市電でたったの15分。半日かけて行くくらい遠いものだと思っていたばかりに拍子抜けである。ほんとうに炭鉱を中心に発展した街だと実感。採掘トンネルは見つけられなかったが、石炭を運ぶトロッコや立体的な建物の数々、そして特別展のエッセン大聖堂の宝物を見られて満足(世界遺産にしては普通だ)。
夜はクラシックの演奏会を聴きに行く。日本ではかつてよく通っていたが、ヨーロッパでは初めてである。観光案内で十月祭の催しについて尋ねたところ、もらったパンフレットに書いてあった。会場は「フィルハーモニー」という、駅から歩いて7分くらいのホール。メッセに行く地下鉄の駅もあるのでいつも気になっていたが、大きくて新しいホールである。
今日は「魔法の世界」というテーマでH.パーセルのオペラ『妖精の女王』抜粋、20世紀の作家の合唱曲『火の騎手』、現代作曲家の合唱つき管弦楽曲『ワルプルギスの夜』、休憩を挟んでF.メンデルスゾーンの合唱つき管弦楽曲『ワルプルギスの初夜』。演奏はベルギー交響楽団、指揮者はR.プントという女性のドイツ人、合唱団は地元の青年合唱団、それにソロ歌手が4人いて超豪華な演奏会なのに、客が出演者と同じ数くらいしかいない。非常にもったいないと思いながら、久しぶりのコンサートを堪能した(メンデルスゾーンの途中で眠ってしまったのももったいない)。
20時開演で終わったのは22時。宿に着いたら韓国のリーさんたちが話しこんでいたので割り込んでしばらくお話をさせていただく。スゴハショスムニダ(お疲れ様でした)。

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