秋葉原水曜日の会の主催者であるタナカマさんのご自宅で行われたゲーム会に参加。ウェブカメラを使った動画による実況中継も行い、深夜にもかかわらず全国から視聴者が訪問するという新しい経験をした。視聴者はチャットに書き込みでき、ゲームの進行や会話にコメントできる。それを読んで回答するという双方向性がすごく新鮮で楽しかった。夢中になってついつい翌朝10時近くまで徹夜。
モー
モー(Mow / B.カタラ / ハリケーン, 2008)
『ミスタージャック』などを手がけたフランスのメーカー、ハリケーンの手軽なカードゲーム。ありきたりに見せかけて、テンション上昇曲線のツボを見事についている。噂では日本語版も出るらしい。フランスのゲームは、ドイツ流のシステマチックなものよりも、こういうノリのよいゲームのほうがよいと思う(『キャッシュ&ガンズ』とか)。
全員の場札は同じである。1枚置いて、1枚引く。最初に置かれたカードの右側には数字が大きくなるように、左側には数字が小さくなるように。置けるカードは次第になくなっていき、置けなくなった人は全部引き取らなければならない。引き取ったカードについているハエの数だけマイナス点。
カードの構成が絶妙で、真ん中あたりの数字はたくさんあるが、小さく(大きく)なるにつれて枚数が経る。だから我慢比べにも限界がある。「これって七並べじゃ?」というコメントもゲームが進むにつれてかき消された。
さらに場を盛り上げる特殊カード。すでに出されたカードの間に入れたり、一番小さい(大きい)数字でブロックしたりできる。さらにリバースもでき、狙って攻撃も可能だ。ただし、出さないまま終わると大きなマイナス点になるので注意。
ラウンドが終わるたびにマイナスを記録して、積算で100点を超える人が出たら終了。1ゲーム15分くらいか。
特殊カードの引きがよくてマイナス0のパーフェクトゲームを2回も取った私が危なげなく勝利。でも本当は特殊カードもろくに来なくて手札が苦しいときに自分の番が回ってくる(いわゆる洗面器ゲーム)のがこのゲームの醍醐味だと思う。Realさん、ブーブー言いながら大喜び。
ハエはイヤなものです。
ドイツカタン(Die Siedler von Catan: Deutschland-Edition / K.トイバー / コスモス, 2008)
カタンシリーズの最新作は、ドイツの地図に名所旧跡を建設しましょうというゲーム。追加ルールがほとんどないオーソドックスなつくりで、美しい立体コマでドイツの風情を楽しめるようになっている。
初期配置はカードで指定された3つの街から。開拓地も名所も建てる場所が決まっていて、道でつないでそこまで来たら、資源を払って建てる。開拓地は都市にアップグレードできず、名所から資源は取れない。ゲームのコツとしては、両方をバランスよく建てないと得点が伸びないようになっている。
名所のコストはどこでも鉄2と麦1。建てると1点になるほか、資源や街道のボーナスがある。ドイツ人が遊んだら、このほかに思い入れの満足(出身地とか)もあるだろうが、我々にわかったのはケルンの大聖堂とブランデンブルク門くらいで、あとはマーライオン(ドイツにないって)とか適当な呼び名で遊んでいた。
場札との交換は3:1がデフォルトで、発展カードの「商人」を出した手番にのみ、2:1交換ができる。とはいえ、開拓地が最初から3つあって資源は潤沢なので、交渉の場面はあまり多くない。ぬるいといえばぬるいかもしれない。あと、盤面のイラストがうるさくて資源が出たかどうかチェックしづらい。
最長交易路も、最大騎士力も1点。しかも発展カードの勝利点は3枚。だからコツコツと貯めていかなければならない。
順調だったRealさんが後半になって資源がでなくなった上に盗賊の集中的に襲われ、その間に勝利点カードを持っていた私が追いついて1位。舞台を日本に移して、日本の名所を作るカタンが出たらいいなと思った。
フーズフー(The Who’s Who Game / 作者不明 / アンガーインターナショナル, 1986)
ここでRealさんが取り出したのは、ダイスで出たアルファベットのイニシャルに当てはまる人名を考えるというレアゲームだった。
まず6面ダイスを振って、現在生きている人/故人/ノンジャンルのいずれかを決める。そして4つの12面ダイスを振ってスタート。中央の台にボールを転がして、穴に落ちて止まる前に人名を言う。
ダイスの目はC、X、W、D、Lなどがよく出るので、どちらかというと外国人の名前を考えたほうがよさそうだが、時間制限のプレッシャーの中で考えられるのはどうしても日本人ばかり。なのでタイムオーバーで次の番というのが相次いだ。
一度ドツボにはまるとただ唸っているだけで思い浮かばない。そんなとき、中央のボールを見ているとだんだん眠ーくなってきて……トラックは半分から始めたがそれでも難儀した。特に故人。
調子に乗ってくるとなぜかぽんぽん浮かんでくるのが不思議なもので、タナカマさんがぽんぽん飛ばして1位。私は「ライナー・クニツィア」が言えたから満足。「中曽根明弘」などという聞いたことがあるようなないような名前が通ったのはご愛嬌ということで。
ダイスエクスプレス(Würfel Express / S.ベンドルフ / ラベンスバーガー, 2009)
ダイスの目を揃えてトラックを進めるレースゲーム。タイトルとは裏腹に、ダイスの目がなかなか揃わず進み方は各駅停車。しかも相手に戻されてバックまでする。
手番には7つのダイスをジャラジャラーッと振る。2回まで振りなおし可能で、揃った目のタイルを自分のコースに置ける。例えばダイスが白が4つと赤が2つになったら、白4マスと赤2マスのタイル。できるだけ同じ色の目を揃えて、長いタイルを置ければエクスプレス感がある。
タイルは共通の場にあるものが使えるほか、ほかの人の最後尾に置いてあるものを奪うこともできる。最後尾のタイルを取られるとその分だけ後退。それから取れるタイルが一個もないと、一番前のタイルを没収されて後退しなければならない。最下位のプレイヤーだけは後退しないですむが、お互いタイルを奪い合っていると、各駅停車を通り超えて『イモムシイモムシ』の世界に。
タイルを奪われないようにするには、ダイスを振る前にタイルを場に返せばよい。でも返した枚数分、ダイスを減らさなければならないので、よしあしといったところか。奪われにくい長いタイルを置いたら、突っ走ったほうがいい。
田村さんが長いタイルで奪われにくい状態になったまま独走で1位。最下位の脱落はないようになっているが、トップの爆走は止められない。私の特急はダイス目が揃わず、2枚とか3枚でちまちまと進めていたので、まったくスピード感がなかった。
モザイカ(Mozaika / A.カルーザ / クズーニャギエル, 2006)
ポーランドのゲームメーカー、クズーニャギエルは名前の綴り(Kuznia)からしてクニツィアと紛らわしいが、このゲームの箱絵の男の人の顔がクニツィアっぽいとあっては、もうわざなんじゃないかと思えてくる。内容はタイルを入札して、得点が高いように並べるというパズルチックなゲーム。
場にタイルを並べ、コインを握って一斉に公開。多かった人から好きなタイルを取って手札に入れる。そして手札からタイルを1枚、自分のボードに並べる。このとき、マークか色が同じタイルと縦横に隣接すれば収入。この収入で以降の入札を楽にしていくというわけだ。
入札でコインが一番少なかった人は、ハエのコマを受け取ってタイルの上に置かなければならない。ハエが置かれたタイルは得点計算でマイナスになってしまう。
深夜ということもあって黙々とした展開。収入を多くして入札にお金をかけ、ハエを少なくした私だったが、最後まで狙っていた線対称が崩れボーナスを逃した。4枚組ボーナスも取りつつ、線対称を達成した田村さんが1位。
場合によっては4枚組を崩してもボーナスのほうが高いことがあり、タイルの並べ方は一様ではなさそうだ。
むかつくウシたち(Fiese Kühe / A.マッツォーリ、P.ラチラー / シュピールシュパス , 2008)
自分の色の4頭のウシを全部、ボードの端から端まで進めてゴールさせるレースゲーム。カードの特殊効果を使って有利な位置につけよう。
カードには1~5の数字が書いてあり、その数だけ使い切らなければならない。しかも途中で曲がれない。牛糞のあるマスやほかのウシがいるマスは通れない。さらに、自分のウシ同士は、4列以上距離が開いてはいけない。群れながらじわじわ、これが基本。
全部のカードには特殊効果がついており、これをうまく使えるかどうかが勝敗のカギだ。止まったマスにいるウシを先に押す、逆に戻す、周囲八方向を蹴散らす、牛糞のあるマスを通る、何回でも曲がれる、好きな数字で止まれるの6種類。ほかのウシも移動するカードでは、自分のウシを有利な位置に、ほかのウシを不利な位置に移動できるよう考えたい。
私のウシが端っこでまっすぐ縦に並んで、先に押すカードでぐんぐん進んでいくという絶好の態勢。端っこだから、蹴散らされることもない。でもそのカードがなくなると途端に行き詰ってしまった。その間にいつの間にか先頭集団に躍り出たRealさんのウシがするすると通り抜けて1位。
「牛歩」という言葉のごとくスピード感はないが、その分だけ位置取りの妙が重要で、そこがだんだん見えてくる楽しいゲームだった。