正月からの皆勤を続けている水曜日の秋葉原。高価で購入しにくいボードゲームを遊ばせてもらったり、自分ではなかなか遊ぶ機会が見つからない軽いゲームを遊べたり、自分からは積極的に遊ばないようなゲームを遊んで食わず嫌いを直したりと、1ゲーム1ゲームに新しい発見の喜びがある。ほかの卓が終わるまでに時間調整で遊べ、3~6人ぐらいとプレイ人数幅の広い軽いカードゲームが重宝されるようなので、この頃そういったものに注目している。(写真撮影:タナカマさん)
ヒクタス|通路
ヒクタス(Hictas / デイドリーム編 / グラパックジャパン、カワダ, 2005)
引くか、それとも引かないか?
短時間で終わるカウントアップのカードゲーム。1~10のカードを出して数字を足し合わせていく。スキップ、リバース、スロー(次の人に1枚引かせる)などのイベントカードもある。補充はしてもしなくてもよいが、最後の手札を出して50(以上)になったら上がり。補充するか、補充しないかが問題だ。
上がるには手札をなくさなければならないため、自他のの手札枚数を見ながら微調整をしなければいけない。手札枚数が少なければ遠くに、多ければ近くに。上がれないときのことを考えて手札整理も大事。この調整がちょっとした駆け引きになっている。最後は一か八かで上がれたときの喜びが大きい。
イエローサブマリン秋葉原RPGショップには常設されていてちょっとの合間にも遊ぶことができる。1ラウンドで大勝ちし、2,3ラウンドは上がれなかったものの最小ダメージで乗り切り勝利。さすがグラパックジャパンが手がけただけあって、カードやボードのデザインはずば抜けてよい。ただカウントアップした数字を記録するためのボードは、ゲームテンポの点から、ナシで遊ぶのがよさそう。
通路(Tsuro / 作者不明 / ウィズキッズ, 2005)
ぐるっと回ってドボ~ン
ボードから落ちないようにタイルを並べて生き残りをはかるボードゲーム。原題そのものが「通路」だが、アメリカのゲームである。ボードやコマには龍が描かれており、オリエンタルな雰囲気。
3枚の手札から自分のコマの前にタイルを置いて、タイルに描かれた通路の通りにコマを進める。真っ直ぐ進むもの、左右に大きく曲がるもの、180度回って戻ってくるもの、タイルはさまざま。どれを使ってどこに進むか戦術が試される。はじめのうちは好き放題に行けるが、ほかの人のエリアと通路がつながってくると油断できない。ボード端に通じる通路につながってしまうとぐるっと回ってドボン。ゲーム脱落となる。
通路はすぐにつながり始めり、どんどん脱落者が出てくるので何人で遊んでもとってもスピーディな展開。それでいて、生き残るためにはほかの人のコマの少し前に位置をとっておくという戦略も必要だ。ルールが簡単で時間も短く、これだけ盛り上がれるのは素敵だ。
終盤、タイルを置けるところがどんどんなくなっていくにつれて緊張感が高まる。1歩でも間違えたら脱落という状況が続く。その唯一の道を先回りをされてつぶされたため、最初に脱落。しかしつぶしにかかったFRTSさんも、さらに先回りしてきたくさのまさんに落とされた。くさのまさん優勝。
ドルメンの神々(Die Dolmengötter / T.オーデンホーフェン / エガートシュピーレ, 2005)
ドルイドを移動しながら石を配置し、その石で陣取りをするゲーム。メーカーのエガートシュピーレは、「古代」と共に昨年のエッセンで高く評価された。
手番には3つのドルイドのうちいずれかを移動し、移動する前にいた場所に石を置いていく。ひとつの石が複数のエリアにまたがっているので、効果的な配置を考えながらドルイドを動かすのが第一の勘どころだ。
陣取りゲームのよくあるパターンとして、誰もいない辺境を狙って低得点を重ねるという方法(エルグランデやルイ14世でよくやる)があるが、このゲームではそうはいかない。各エリアではほかの人のコマがいないと得点できないので、協調しつつ一歩出し抜くタイミングをうまくはかるのが第二の勘どころとなる。
そして石の数が意外と少ないし、得点計算が終わらないとドルメンが返ってこないので、終盤は持ち駒の数をしっかり管理するのが第三の勘どころ。ボードとコンポーネントは地味だが、ドイツの陣取りのエッセンスがつまっていて深い。短時間ガチで遊べる。
辺境の地で苦しむタナカマさんをよそに、FRTSさんと協力して大幅にリードを固めた。そのまま自分のドルメンをなくしてゲームを終わらせようと目論んだが、何と手元の石がない。石がないとドルメンは置けないのだ。この配分ミスでゲームを終わらせることができず、皆が終わるまで指をくわえて眺めることに。それで結局ほかの地でも成長したFRTSさんに抜かれて2位。もう1度遊んだら、展開はかなり変わるにちがいない。
※ドルメンは再利用できないことが、後日判明した。これによってゲーム展開はさらにスピーディになるだろう。
キャセイ(Kathai / M.アンダーシュ / アドルング, 2000)
これぞシルクロード商法なり
マルコ・ポーロの『東方見聞録』で中国北方の地、契丹(キャセイ)。ここを舞台にお茶、胡椒、絹、金、塩の5点を集めて売却するカードゲーム。アドルングらしく、カードゲームのツボを押さえた作品である。
手番にはカードを1枚引き、売れるものが揃ったら手札から出してポイントを得る。カード枚数が多いほど利益も上がるしくみだ。
誰かが売った品物は値が崩れて儲からなくなるが、誰も売らずに高値のものはまとまった個数が必要となるので売りにくい。薄利多売で回すか、大もうけを狙ってじっくり待つか。でもほかの人に同じ品物で先を越されたら水の泡。商機を逃さないようにしたい。
どの品物が揃うかは引き運次第だが、誰かと枚数指定で手札交換して品揃えを変えたり、賄賂を送って値段を上げたりすることもでき、経営手腕も少々試される。
売ろうとしていたものが直前に誰かに売られて値崩れ。それならがっぽり貯めこんで大儲けしようと思ったら手札交換でもっていかれたり、いいとこなしで最下位。引いてくる札が後手に回ったのもあるが、売却のタイミングを待ちすぎたり待てなかったり、ちぐはぐな商売をやってしまった。
西部の無法者(Desperados / A&H.オシュターターク / プフィフィカス, 2004)
手番にはカード2枚を引いて、1人を5つの場所のいずれかに置く。これが襲撃予告フェイズ。誰がその場所を狙っているかということだ。先に置かれた人物は強いので、すでにここから何を置くか考えていかなければならない。
いずれかの場所で規定の人数が揃うと、襲撃実行フェイズに移る。襲撃予告フェイズで並んだ人物を手札から出して、一番強い強盗団を出した人が得点する。この強盗団は指名手配リストへ。その後の襲撃では指名手配がかかっている人物(=場の数が少なくなっている人物)も強さが上がる。
手札は襲撃予告と実際の襲撃の両方で使うため、襲撃予告に出すと襲撃に出す分がなくなるし、襲撃予告に出さないと襲撃で使えないしで手札マネージメントが刺激的なほど難しい。10人の顔ぶれも個性的で、ついつい感情移入してしまうゲームだ。
始まってすぐ、みんなから「難しい」の唸り声連発。小さい強盗から少しずつ起こっていく。強盗団はみんな一斉に出し、負けても捨て札になってしまうため、思い切って全戦力をつぎ込むか、節約して次の襲撃に備えるかも難しい。皆無理だろうと思ってあきらめたところを1枚だけで勝ててしまったり、その直後に戦力をどっさりつぎ込んでもさらに上がいて勝てなかったりとドラマチック。今回は序盤で「BBクイーンズ」(勝手に命名)が大活躍、指名手配リストにカードを連ねて強力な戦力に。襲撃予告には出てくるのに襲撃に参加しない「インディアン」と「おじいちゃん」、終盤になって活躍し始める。場のカード構成がどんどん変わっていくので、人物のパワーバランスも少しずつ変化していくのが面白い。2人でも面白いとのことで、次回試してみたい。
アクアダクト(Aquädukt / B.ヴェーバー / シュミット, 2006)
手番にできることは、ダイスを振って家を建てる、水源を置く、水源から水路を伸ばすのいずれか。まずは家をできるだけ近場に固めて建てて、そこに後から水路を伸ばしていくというのが基本になるだろう。ダイスは3回まで振れるから、ある程度の調整はきく。
どこに家を建てられるかは運次第だが、1手番で2本ずつ引ける水路は戦術が必要。何しろ1つの水源からは2本まで。折角自分の近くまで引いてきたと思っても、油断すると手前で曲げられてしまう。ほかの人にうまく相乗りするか、自分で地道に引いていくか。
近くに水路がなければ、新たな水源を置くのもよい。しかし水源を置いただけで手番が終わってしまうので、ひょっとするとほかの人がそこからとんでもない方向に水路を伸ばしてしまうかもしれないのだ。ほかの人の狙いを見据えつつ、すでにある水源から伸ばすか、新たに水源を作るか。
序盤から高得点の家を惜しげもなく建てる。ポイントは、ほかの人の家に近いところに建てることだ。この利害が一致したため、ここにずーっと長い水路が通った。残った地は家もまばらで、水路もあとわずか。すでに水路が通っているところに安い家を建てて確実に得点するか、残った地に打って出るかで勝敗が分かれた。残った地に2,3件集めて、そこを水路1,2本で潤す。これがうまくいって1位を取ることができた。
家の配置状況に応じて多様な展開が予想される。ただ長期的な戦略は立てにくいので、目先の利益をつかむことが主眼になる。