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ドイツ年間ゲーム大賞授賞式で「スイカ」が問題に
ドイツ・ベルリンで7月21日に行われたドイツ年間ゲーム大賞授賞式で、エキスパートゲーム大賞を受賞した『E-ミッション(デイブレイク)』の作者のひとりM.メナパーツ氏が、パレスチナ人への支持を表すスイカのステッカーをTシャツに付けていたことが問題となっている。ドイツ年間ゲーム大賞協会は今後、同協会が主催するイベントへの出席を禁止すると発表したが、その対応に批判の声も上がっている。
スイカは、パレスチナ自治政府の旗と同じ赤・黒・白・緑の配色で、イスラエルが以前ガザ地区などでの旗の使用を禁じたことから、闘争のシンボルとして使われるようになった。イスラエルのガザ侵攻が長期化する現在、アメリカの若者を中心にパレスチナを支持する世論が広がっており、大統領選挙の争点の一つにまでなっている。その中でスイカは、パレスチナへの支持と連帯を示すアイコンとして広く用いられている。
イギリス在住のメナパーツ氏は、食糧問題や気候危機などをテーマにした協力ゲームをデザインしており、ゲームを通してチームワークを学ぶワークショップを開催するなど、現代社会問題に関心が高い。今回受賞した『E-ミッション(デイブレイク)』も気候変動に取り組む協力ゲームだ。また、Xのアカウントでスイカのアイコンを使い、パレスチナへの医療支援を呼びかけている。
そのメナパーツ氏が、スイカのステッカーをTシャツに付けて授賞式に臨んだのはパレスチナ支持を示す政治的な意図があってのことと見られる。しかしこのスイカがイスラエル国土の形をしていたことで、ドイツ年間ゲーム大賞審査委員会はイスラエル国家の存在を否定する「大パレスチナ」と、反ユダヤ主義を掲げるものと判断。またメナパーツ氏は今回の一件だけでなく、これまでも「彼の作品に関わった他の人々(デザイナー、編集チーム、出版社)に対しても、極めて非協力的な態度をとっていた」といい、「私たちがステージに招待したゲームデザイナーの一人が、ユダヤ人から反ユダヤ主義的と受け取られるであろうシンボルを服につけていたことは許容できない」(H.シュラーパース氏)として、今後同協会が主催するイベントへの出席を禁じることを発表した。
同協会は「ボードゲームで寛容な心を」というスローガンを掲げ、人種差別や排外主義に反対し、シリアやウクライナからの避難者を招いてのボードゲームイベントを開催している。スイカのステッカーは授賞式直後に没収され、受賞メンバーの写真には写っていない。しかし今回の対応について、Xでは「大量虐殺に反対することは反ユダヤ主義ではない」「パレスチナ人にとって自由の象徴を、反ユダヤ主義のシンボルと同一視するのは無教養」「委員の不寛容さが明らかになってしまった」といった批判が寄せられている。
メナパーツ氏は26日、ドイツ年間ゲーム大賞が反ユダヤ主義に対して敏感に反応することに理解を示しつつ、個人的な見解として、「ステッカーの形について議論し、反ユダヤ主義的な解釈を推し進めることは話をそらしている。地図から消され、人道的・医療的サービスを切実に必要としている何千人ものパレスチナ人の現実に注意を喚起したい」「西側諸国の市民として私たちにできることは、この不公正における歴史的な役割に責任を持ち、戦争犯罪に資金を提供し助長することへの加担をやめるよう、政府に圧力をかけることである」と述べている。
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