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ローマの執政官(Console Romano)

俺様が法律だ!
執政官は、共和制ローマにおいて内政と軍事の両方を司る最高職だった。ローマの将来は彼の手に委ねられている。任期中に、自分が有利になるように、そしてほかの人が得をしないように配慮する駆け引きのゲーム。
カワサキファクトリーが今年のゲームマーケットに出展した国産同人ゲームで、『シチリアの殖民』『カルタゴの貿易商』とともに地中海シリーズに位置づけられるという。完成度の高さはもちろんのこと、オリジナリティの高さにも驚く。こういったゲームを最初から日本語で遊べるのはつくづく幸せなことだと思う。
ローマの執政官
毎ラウンドはじめに執政官を選出する。スタートプレイヤーから順番に意志を表明して、最初になりたいと言った人が執政官となる。執政官は給料をもらえる上、ほかのプレイヤーを自分の手のひらの上で踊らせる優位感を味わえるので、たいていはパスしない。
執政官になった人は、法案(アクション)カードを3枚もって、その中から1枚出す。ほかの人は、そのアクションを行いたければ○を、行いたくなければ×を選ぶ。○×を一斉に公開して、○の人だけがそのアクションを実行。
このようにして、執政官は5枚(+ランダムに1枚)の法案を選んで出し、それぞれアクションするかどうかを選ぶ。ほかの人は2回ずつしかアクションできず、しかも同じ種類のアクションカードは2枚目のほうが効果が高いので、どこで○を出すか非常に悩む。
しかし執政官も、皆が悩むのをニヤニヤして見ていればいいというわけではない。執政官もアクションできるが、それは全員×を出したときに限るというのがポイント。皆がまんべんなく○を出してしまうと、どのアクションもできないまま終わりかねない。最初に餌をまいて、後から効果の高いものをまんまとせしめるか、皆に出方を伺わせてさっさとアクションしてしまうか。ほかの人がどのアクションを求めているか、状況をよく読まないといけない。
アクションは5種類あって、それぞれやりかたは異なるが市民コマをローマ七丘に配置したり、資源(お金)を手に入れたりする。少しずつ得点になるものもあるが、大得点のチャンスは何といっても戦争。毎ラウンドいくつかずつ「戦度」が上がり、限界に達すると勃発する。
戦争では、ローマ七丘に配置した自分の市民コマの数だけ資源を払えればその数だけ得点になる。市民コマを配置すればするほど得点も大きくなるが、資源が足りないと少ししか得点できない。資源が尽きたときに戦争が起こった日には大きなビハインドになってしまう。備えあれば憂いなし。
もう一つの大得点チャンスはラウンドの最後にある街道建設。ここでは資源を支払えば得点が入るが、支払う資源の数がどんどん増えていく。ここでバーンと払ってしまっていいのか、それとも戦争に備えて貯めておくべきか? あちら立てればこちら立たずのカツカツになる苦しさは『アグリコラ』や『ルアーブル』を彷彿とさせる。
10ラウンドの後に戦争を1回行って終了。3人プレイで60分ほど。執政官をやるのは気持ちよくて、パスした人は誰もいない。様子見の人が多かったので、執政官が先にアクションを行うという展開が多かった。1位は資源を無駄遣いせず、安定して戦争に貢献したcarlさん。私は予期せぬ戦争で得点チャンスを1回失ったのが響いて最下位だったが、 みんなを悩ませる法案を次々と出せて満足である。
Console Romano
川崎晋/カワサキファクトリー(2012年)
3〜4人用/10歳以上/60〜75分
カワサキファクトリー:ローマの執政官

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落書きプラネット(Scribble Planet)

ありえない星座
昔の人は想像力が豊かだったと思う。台形みたいなのがてんびん座で、「人」の字みたいなのがかに座である。言われてみないと、いや言われてみても分からない。
『落書きプラネット』は、そんな想像力をはたらかせて、点でものを表現し、当ててもらうお絵描きゲーム。今年のゲームマーケット大阪と浅草で発売された同人ゲームである。最初は全く分からなかった点の集合に、線が引かれるにつれて答えが見えてくる感覚が独特で面白い。

最初に親が「海の生き物」「山にあるもの」「文房具」「デパ地下にあるもの」など、このラウンドのテーマを発表する。全員、そのテーマに沿って自分の描くものを考え、ブラックライトペンで記入する。サイコロを振って、点をいくつ打てるか決まったらお絵描きスタート。
全員が終わったら、それぞれの絵を公開。早い者勝ちで何を描いたか当てる。当てた人は常に2点だが、描いた人はいきなり1人目で当てられてしまうと0点、2人目は2点、3人目は3点……という得点構成。だから分かりやすい絵ではいけない。ABBさんは「海の生き物」でイカ座、「山にあるもの」でどんぐり座を即答されて無得点となってしまった。
誰も答えない状態で10数えたら、まだ当てられていない絵について線をちょっと引く。そしてまた解答タイム。それでも当てられなければ線を足して3回目の解答タイム。最後に全部引いて完成させ、最後の解答タイムとなる。線を1〜2本足しただけで印象がガラリと変わるから不思議だ。それゆえに、すぐ当てられてしまわないようにもしなければならない。
完成してから、誰にも当ててもらえなければ−1点。解答は、ブラックライトを当てると浮かび上がるようになっている。誰にも当てられなかった謎の星座が明らかになる瞬間がやばい。
「文房具」でdjさんが作ったホッチキスの針座、「空想上のもの」で鴉さんが作ったタイムマシン座などを当てつつ、「文房具」で修正テープ、「空想上のもの」で龍をほどよく当ててもらって1位。でも画伯tomokさんが「デパ地下にあるもの」で作った萩の月※座は、「文房具」で角丸くん座を当てたdjさんにすら当てられなかった。
※萩の月:仙台名物のお菓子。丸いスポンジの中にカスタードクリームが入っていて美味しい。tomokさんの絵は箱入りだったので「ようかん」「お中元」「お歳暮」などと間違われた。
落書きプラネット
新澤大樹/倦怠期(2012年)
3〜6人用/10歳以上/15〜30分