フランスのボードゲーム出版社
フランス語圏(ベルギー、スイス、カナダ)を含む。Wikipedia(フランス)や自社サイトなどからまとめた。ドイツのボードゲーム出版社まとめはこちら。
アスモデグループ
1986年に設立されたTRPG出版社「シロズ・プロダクション」が前身。89年に倒産して再スタートし、95年から会社名を「アスモデ出版」に変更した。97年に『ジャングルスピード』を発売、2003年に『ポケモン』TCGのフランス総代理店となり、売上を伸ばす。2007年にプライベートファンドの資金を得てボードゲーム出版社の買収を進め、ドイツとアメリカに子会社を設立。『ドブル』などのヒット作とTCGの売上により、フランス国内業界トップだったハズブロ、マテルを上回り1位となった。その後もボードゲーム出版社だけでなく、ニュースサイト、オンラインショップ、オンラインボードゲームサイト(BGA)も買収し、グループとして事業を拡大しているが、会社自体が投資対象として投資会社・持株会社に売買されている。
2002年、アメリカ在住のフランス人E.オートゥモンらが、絶版になった『ギャング・オブ・フォー』を復刻するために設立。サンフランシスコとパリの2拠点でグローバル展開し、『チケット・トゥ・ライド』をはじめ、高品質なコンポーネントで世界的に評価された。2014年にアスモデが買収し傘下スタジオとなる。
『チケット・トゥ・ライド』『スモールワールド』『キャメロットを覆う影』『メモワール’44』『クレオパトラと建築士組合』『ヒート』など。
2004年、『タイムズアップ!』のフランス語版を制作販売するために設立されたベルギーの出版社。社名の由来は「戦士の休息(ルポ・ドゥ・ゲリエ)」からで、ソンブレロ(カウボーイの帽子)がロゴ。2019年にアスモデが買収し傘下スタジオとなる。
『キャッシュ&ガンズ』『コンセプト』『世界の七不思議』『マスカレイド』『私が夢みるとき』『ジャスト・ワン』『ことばのクローバー』『ファンファクツ』など。
2008年、ボードゲームデザイナーのR.ボネッセが『ディクシット』を出版するために設立。独仏の年間大賞を受賞し、500万セット販売という大成功を収めた。2020年にアスモデが買収し傘下スタジオとなる。
『ディクシット』『十二季節の魔法使い』『クシディット王国記』など。
2014年、アスモデの創業者たちが設立し、2015年にはイスタリゲームズのC.ドゥマーグとゲームワークスのS.ポーションが加わり、アスモデ傘下スタジオとなった。物語性のあるゲームに力を入れており、『T.I.M.Eストーリーズ』と『アンロック!』はシリーズ化されている。キッズ向けレーベル「スペースカウ」もある。
『宝石の煌き』『ネビュラ』『ヒット・ザ・ロード』『エリジウム』『T.I.M.Eストーリーズ』『アンロック!』など。
2016年、F2Zエンターテインメントがアスモデに買収されたのを機にS.グラーヴェルがカナダで設立。『センチュリー』三部作のほか、『アズール』シリーズ(「ネクストムーブ」ライン)、『メンアットワーク』(「プレッツェルゲームズ」ライン)などをリリースし、2017年にはドイツの出版社エッガートシュピーレを買収した。しかし2021年にアスモデに(再び)買収され傘下スタジオとなる。
アシェットグループ
1991年にジル3兄弟によって設立。もともとアブストラクトゲームを専門としていたが、ファミリーゲームも手掛けるようになった。2019年に書籍出版社大手アシェット・リーブル傘下となる。輸出は1国1社の独占契約を結んでおり、日本ではキャストジャパンが販売している。
『クアルト!』『コリドール』『マラケシュ』など。
2006年に文学者・詩人にC.ルメイによって設立されたカナダ・モントリオールの出版社。2021年からフランスの大手書籍出版社アシェット・リーヴル傘下となる。フランスでの販売はイエロ、ベルギーでの販売はアスモデ。
『ウェンディゴのこわい話』『デクリプト』『適当なカンケイ』『ゾンビキッズ』『ゾンビティーンズ』『名探偵ミア・ロンドン』『フラッシュエイト』『マスターワード』など。
2007年、Y.ローランが従兄弟と設立。社名は同じ意味の町名(ラ・ロシュ・ノワール)から取られている。オリジナル作品は少ないが、国内外ボードゲームの販売では業界3位を誇る。大手出版社アシェット・リーヴル傘下。
『見逃してもイイよ!』など。
2013年設立。ショップ向け・クラウドファンディング向けのオリジナル作品と、国外ゲームのフランス語版を制作。大手出版社アシェット・リーヴル傘下。
『トライブス・オブ・ザ・ウィンド』『思い出を手にのせて』『ネタ・タンカ』『イッツアワンダフルワールド』『ケルベロスの試練』『アウトリブ』など。
2014年リヨンで設立。大手書籍出版社アシェット・リーヴル傘下。自分たちが楽しいゲームをモットーにメカニクス・イラストともにユニークな作品を制作している。
『キューバード』『ファラオン』『アフターアス』『オリハルコン』『ペーパーテイルズ』など。
2017年にパリで設立。ナラティブなゲームに特化し、SFから中世まで幅広いテーマで制作している。大手出版社アシェット・リーヴル傘下。
『IKI-江戸職人物語-』など。
2019年、マタゴの創始者H.A.ベドランによってパリで設立された。大手書籍出版社アシェット・リーヴル傘下。
『オリフラム』『シャーマンズ』『オルトレー』『ヴィヴァリウム』『キウィズの王様』など。
独立系
2001年に設立されたインタールド社のボードゲームブランド。当初、缶入りの小箱ゲームがトレードマークだった。アスモデ傘下ではないが、販売はアスモデが行っている。社長のM.デプヌー氏は日本のゲームマーケットに毎回参加しており、『イマジン(ピクテル)』『ハッピーシティ(ハピエストタウン)』『トリオ(ナナ)』など、スカウトされてヒットしたゲームもある。
『花火』『フォト・パーティ』『ウィ・ウィル・ロック・ユー』『トップテン』など。
2004年に「カルタゴーゴー」という社名で設立。当初はトランプとTCGの通販を手掛けていたが、2006年に『遊戯王』TCGの代理店となったことをきっかけに、ラベンスバーガーなどドイツの出版社の製品を扱い始める。2011年には初のオリジナル製品『キング・オブ・トーキョー』を発売。『七英雄物語』『コーラ:ライズ・オブ・アン・エンパイア(インプルーブメント・オブ・ポリス)』『リトルタウン(リトルタウンビルダーズ)』『ゲット・オン・ボード』などの日本人作品も多く手掛ける。
『ビブリオス』『バニーキングダム』『八十日間世界一周』『フラインゴブリン』など。
2005年に設立された「ジャクトアレア」が、アメリカのブルーオレンジゲームズ(1999年設立)と提携して社名を変更。開発を担う「ブルーオレンジ出版」、北米・オーストラリアに展開する「ブルーオレンジゲームズ・アメリカ」、ヨーロッパ・南米・アフリカ・アジアに展開する「ブルーオレンジゲームズ・フランス」の3社が連携してグローバル展開している。
『キングドミノ』『ドクターエウレカ』『ルーニークエスト』『スライドクエスト』『うんちしたのだあれ?』『おじゃまっシー』『ミープルランド』『ネクストステーション・ロンドン』など。
2005年にパリでH.A.ベドランによって設立された。当初はTRPGを制作していたが、ボードゲームにも進出し、2011年に『タケノコ』がヒット。日本人作品も手掛けた。2016年には子会社サーフィン・ミープルを設立し、国内外で自社ゲームを販売。2019年にベドランが脱退してスタジオHを設立したが、A.シャルパンティエが引き継ぎ、事務所をボルドーに移した。『シャドウハンターズ』『キャットインザボックス』など日本人作品のフランス語版も制作。
『タケノコ』『ケメト』『バロニィ』『ルーム25』『キャプテン・ソナー』『イニシュ』など。
2010年、ルフェーブル夫妻によって南フランスで設立。家族経営で世界観を重んじ、アートワークやコンポーネントにもこだわって制作している。
『コルト・エクスプレス』『ルイス・クラーク探検隊』『星の王子さま』『リビング・フォレスト』など。
2011年にアスコエ兄弟によって設立。社名は蚕の意味で、ロゴも蚕。独自の世界観をもった作品を制作し、同じゲームを5種類のパッケージで制作したり、缶入りシリーズで発売したりするなど差異化を進める。アスモデ傘下ではないが、販売はアスモデ。
『タケノコ』『アビス』『キャッチ・ザ・ムーン』『イマジナリウム』『ニコデマス』『シーソルト&ペーパー』『コーデックス・ナチュラリス』『クナール』など。
2014年設立。主に名作をデラックス版で再版する。アートワークやコンポーネントだけでなく、ルールに変更を加える場合もある。ほかにオリジナル作品も年に2タイトルほどのペースでリリースしている。
『アメンラー』『マフィオズー(ルイ14世)』『レクト・ベルソ(ラ・ボカ)』『エクスペディションズ』『ジェネシア』など。
2021年にボードゲームデザイナーのT.リヴェエールや、日本在住のY.デプラドらによって設立。日本人作品のフランス語版を制作。『ディストリクト・ノワール(聖杯サクセション)』など。
活動休止・現況不明
1988年からボードゲーム制作を開始した「ユーロゲームズ」が前身。84年にフランス在住のイタリア人によりミニチュアゲーム会社が、1988年に破産したイタリアのゲーム会社「インターナショナルチーム」の権利を引き継いで社名を「ユーロゲームズ」にした。ヨーロッパ8言語でオリジナル作品を展開したが、1994年にTRPG・ウォーゲームのデカルト出版(1977年設立)に買収され、「ユーロゲームズ・デカルト」ブランドとして事業を継続。2005年にアスモデに買収され活動を休止した。
『エボ』『フォーミュラ・デ』『マレ・ノストルム』『犬の生活』『ドラゴンズゴールド』など。
1997年設立。ドイツ作品のフランス語版を制作し、「ティルシット・コレクション」としてR.ボネッセなどがデザインしたオリジナル作品も手掛けたが、2010年に廃業。
『マカバナ』『ヒマラヤ』『キーラルゴ』など。
1999年、ゲームデザイナーのP.デパリエールが設立。社名は「彼自身」という意味で、フランス語版の人狼をはじめ、パーティーゲームを年に1タイトルペースで制作してきたが、2020年から活動休止。
『ミラーズホロウの人狼』『髑髏と薔薇』『マフィア・デ・キューバ』など。
2001年にS.グラーヴェルによってカナダ・モントリオールで設立。『カタン』『カルカソンヌ』など国外作品のフランス語版を制作し、2011年にズィーマンゲームズを買収して『パンデミック』シリーズも扱う。2014年には合同でF2Zエンターテインメントに社名変更し、2016年にアスモデに買収された。その際、S.グラーヴェルはプランBゲームズ(下記)を設立し活動を休止。『ラブレター』『パレード』のフランス語版を制作している。
2004年、C.ドゥマーグが自身の作品『イス(Ys)』を出版するためにパリで設立。翌年には『ケイラス』でブレイクし、ゲーマーズゲームを発表すると同時に、国外のゲーマーズゲームを「イスタリ・プラス」というレーベルでローカライズしていた。2015年にスペースカウボーイズと合併し、実質アスモデに吸収され活動を休止した。
『ケイラス』『イスパハン』『アミティス』『メトロポリス』『アッシリア』『ミルメス』『スパイリウム』など。
2006年、スイスのボードゲームディストリビューターであるスイスゲームズ(1997年設立)から出版部門を分離して設立。最初の作品である2人用ゲーム『Mr.ジャック』は25万部を売り上げた。現況不明。
『アウグストゥス』『モウ』『ナーガラージャ』『女海賊 鄭夫人』など。
2006年、ゲームデザイナーのS.ポーションらによってスイスで設立。2013年に活動を休止し、S.ポーションはスペースカウボーイズに移った。『ジャイプル』など一部の作品はスペースカウボーイズが引き継いで出版している。
『ジャイプル』『ソベク』『ピックス』など。
2010年、ゲームデザイナーのS.ドゥジャルダンによって設立されたベルギーの出版社。独特のゲーマーズゲームを制作してきたが、2015年にアスモデ出版に買収。寡作だったこともあって2023年に閉鎖された。
『トロワ』『トゥルネー』『銀杏都市』『ブリュッセル1893』『デウス』『オーティス』『ソレニア』『ブラックエンジェル』『トロワダイス』など。
2010年、ゲームデザイナーのE.ベルトランドによって設立。アジアテーマの作品を手掛けた。現況不明。
『牛頭』『街コロ』『高麗』など。
ニュルンベルク’24:シュミット
ゲームデザイン:K.J.ヴレーデ、イラスト:M.ブスタメンテ、3~4人用、10歳以上、45分。
『カルカソンヌ』の作者による、映画『ロード・オブ・ザ・リング』を元にした協力ゲーム。コンポーネントに本物の指輪が入っている。
仲間たちが運命の山への危険な道のりを共に歩み、黒の騎士に捕まる前に指輪を破壊できれば勝利となる。しかしときに指輪の持ち主はサウロンの力に屈し、仲間を裏切って自分の目的を追求することもある。うまく連携し、適切なタイミングでカードを使って裏切りが出ないようにしなければならない。
ゲームデザイン:W.ヴァルシュ、イラスト:D.ローハウゼン、2人用、10歳以上、45~60分。
2018年にドイツ年間エキスパートゲーム大賞を受賞したバッグビルド&プッシュユアラックゲームが2人用になった。
自分の袋から1枚ずつ材料チップを引き、ボトルタイルに置いていく。色チップが3枚になるか、途中でやめるか、ボトルが爆発したらチップの様々な効果を使って、新しいチップを獲得する。チップの効果で顧客がボードを進み、自分のお店まで先に6人たどり着いたプレイヤーの勝利となる。
ゲームデザイン:K.ヒーゼ、イラスト:?、2~4人用、8歳以上、30分。
4枚のタイルで正方形を作り、最も少ないシンボルが得点になるタイル配置ゲーム。
手番にはプレイヤー人数分の場札か袋から1枚取り、共通の場に並べる。4枚で正方形ができたとき、最も少ないシンボルの数だけ特典できる。いずれかのシンボルで規定回数得点が入るとゲーム終了となるが、横一列が揃っている場合のみ得点になるので、各シンボルでまんべんなく得点しなければならない。
ゲームデザイン:S.ドラ&R.ツァリンデ、イラスト:?、2~6人用、8歳以上、30分。
『ロバの橋』のデザイナーコンビによるイニシャル記憶ゲーム。使いにくいイニシャルもあるかもしれないが、日本語でもプレイできると思われる。
絵とイニシャルカードを引き、その絵に関連する、指定されたイニシャルから始まる言葉を3つ考える。決めたら絵とイニシャルを裏返す。これを繰り返して12組作ったら、指定された順番で絵だけ公開。それを見て何のイニシャルだったかを思い出し、用紙に記入する。正解が多いプレイヤーが勝利。
ゲームデザイン:J.マークル、イラスト:?、1~4人用、8歳以上、30分。
得点パターンを自分で組めるダイスゲーム。
毎ラウンド、特定の目を出す、ゾロ目、ストレートなどの役チップを購入して自分の前に並べる。7つのダイスを振り、1つでも役ができていれば続けられるが、1つも役ができていないとこのラウンドは脱落になってしまう。適当なところで降りて、役ができたチップは得点化するか、倍率を上げられる。5ラウンドで得点を競う。
ゲームデザイン:R.クニツィア、イラスト:?、2~4人用、8歳以上、20分。
ダイスを何回か振り直していずれかの役を作る古典的ダイスゲームをクニツィアがアレンジ。ルールは変わらないが、付属する7つのダイスはすべて目の構成が異なり、「7」の目がある。