メビウス5年間の販売数による人気ゲームの分析

ドイツゲームの主要タイトルをほぼ網羅して扱っている東京のゲームショップ、メビウスゲームズでは毎年、過去1年の販売数量ベスト20を発表しています。このリストに入っているゲームは、日本で人気のあるゲームということになるでしょう。過去5年間のデータが揃ったところで、分析をしてみました。

まず気づくことは、5年間リストに入り続けている不動のタイトルが結構あることです。5年間入り続けたのは7タイトルあり、各年の3分の1はレギュラーメンバーだということが分かります。とりわけ6ニムト、あやつり人形、カルカソンヌは上位をキープしており、3種の神器といってもよいほどでしょう。そのほかの4タイトルは順位を次第に下げながらも健闘しています。

この7タイトルのうち、5タイトルまでがカードゲームです。カードゲームは値段が安く、ルールもそれほど多くなく、また短時間で遊べるため、フリークから一般層まで手に取りやすいのでしょう。残りのブラフ、ガイスターもシンプルなルールと短時間で遊べる点で共通しています。もちろん、それだけではなくてそのゲーム特有の持ち味がなければいけません。6ニムトの列形成、あやつり人形の職業選択、カルカソンヌの箱庭感、マンマミーヤの積み込み、ボーナンザの手札順番、ブラフの星印、ガイスターの隠匿性など、どれもほかのゲームにない驚きがあります。

それでは、値段はいくらぐらいが売れ筋になるのでしょうか。輸入ゲームである以上ある程度値段が高くなるのはやむを得ず、いくら面白いゲームだといっても5000円を超えるものはなかなか手に取れないでしょう。

順位 タイトル名 人気pt
1 6ニムト 98
2 あやつり人形 92
3 カルカソンヌ 85
4 ボーナンザ 62
5 ガイスター 60
5 マンマミーヤ 60
7 ワードバスケット 50
8 プエルトリコ 42
9 サンファン 39
10 ブラフ 36
11 ミッドナイトパーティー 35
12 ハゲタカの餌食 34
13 キュージェット 28
14 クク 22
15 ごきぶりポーカー 18
16 トランスアメリカ 16
17 ナイアガラ 14
18 コロレット 12
18 ナッシュ 12
20 サンクトペテルブルグ 11
20 ダイヤモンド 11
20 リミット 11

これを調べるために、まず人気ポイントを算出しました。1位を20ポイント、2位を19ポイント、3位を18ポイント……20位を1ポイントとしてゲームごとに積算していきます。例えば6ニムトは1位を3回と2位を2回取っていますので20×3+19×2=98ポイント。10位以内に入ったことのあるゲームで、人気ポイントの順位は右表のようになります。5年間の通算ベスト20といったところです。

この人気ポイントにそれぞれの価格をかけると、売り上げ値になります(6ニムトが98個売れ、操り人形が92個売れ、カルカソンヌが85個売れて…という計算。もちろん実際の売り上げ額ではありません)。この売り上げ値の合計を人気ポイントの合計で割ると、人気ポイントを反映した平均価格がはじき出されます(上記のように売れたとすると、1個あたりいくらだったかという計算です)。

その結果は、2,233円(小数点以下切り捨て)となりました。カードゲームの価格はたいてい1,800円前後ですから、カードゲームの人気がここでも分かります。右の表でボードゲームを見ても比較的安価な3000円台が多く、4000円を超えるものはブラフ、プエルトリコ、ナイアガラの3点だけです。いずれもドイツ年間ゲーム大賞やドイツゲーム賞を獲得した傑作ですね。

以上まとめますと、以下のような結論になります。

  1. 6ニムト、あやつり人形、カルカソンヌの3点の人気の高さは別格
  2. 普通ゲーム1タイトルに費やせる額は2200円ほど
  3. カードゲームは価格が安く、人気が出やすい
  4. ボードゲームは3000円台ぐらいまでのライトなものが好まれる
  5. 4000円を超えるボードゲームは、かなりの傑作でないと売れない

毎年ドイツ市場で発表される新作は年間500タイトルにものぼり、日本で販売される種類も増加しています。しかし、定番の旧作と肩を並べるほど人気を博するのはほんの数タイトル、しかもその中で年を越えて人気を維持できるのはさらに限られます。だからこそ、上記の通算ベスト20に入るようなゲームは偉大な面白さがあり、自信をもって人に薦めることができるのです。今年も、このリストに食い込めるような新作の登場が楽しみです。(2006/1/27)