8ビットモックアップ(8bit Mock Up)
あのタイルさえ来てくれれば……!
神様の見習いとなって、新しい世界の模型(モックアップ)を作るタイル配置ゲーム。今年のゲームマーケット春に「さとーふぁみりあ」から発売されたもので、イラストは『8ビットトリック』の長谷川登鯉氏が手がけた。ファミコン世代にとって、『ゼビウス』や『ドラゴンクエストI』のような8ビットの風景が広がっていくのは格別の趣がある。
ゲームの流れは『テイク・イット・イージー』や『カルバ』のように、全員が同じ内容・枚数のタイルをもち、ひとりが裏返して1枚をランダムに引き、それと同じタイルを全員が配置していく方式。これを繰り返して20枚置いたところでゲーム終了。得点の高い人が勝つ。
タイルには番号がついており、赤い色のタイルが引かれると、中央から「モニュメント」と呼ばれるコマを1個ずつ取る。タイルは同じ地形をできるだけ広くつながるように配置していくが、それだけでは得点にならない。同じ色のモニュメントをその地形において初めて、得点計算の対象となる。中央にあるモニュメントは数に限りがあるため、どの色の地形を広げたらいいのか、残っているモニュメントをもとに指針を立てなければならない。同じタイルを配置しているにも関わらず、狙っているモニュメントが変わってくるのも面白い。
タイルが残り少なくなってくるにつれて、このタイルはほしくないが、あのタイルはほしいというのが出てくる。「◯番、◯番!お願いします」といったコールがかかり、1枚引かれるたびに悲喜こもごも。終盤は地形が完成するかどうかがかかってきて非常に白熱する。
モニュメントを置いた地形が完全に閉じれば(半円のマークがなくなれば)、円1つにつき2点。閉じていなければ1点。ひとつの地形を広げすぎると、『カルカソンヌ』の街のように泣きを見るだろう。ほどほどの大きさで閉じておいたほうが、モニュメントを無駄にしなくて済むが、そこには運の要素もある。どのタイルが来ても閉じられるよう、「待ち」を広くしておくのがポイントだ。
紫色の地形は全く得点にならない毒沼。ほかの地形にもつなげられないので、置き場所に困る。このお邪魔タイルも憎い演出だ。
4人プレイで15分ぐらいと『キングドミノ』ぐらいの軽さで、次はもっとうまくやれそうな気がしてもう一戦、もう一戦と遊び続けたくなるゲームである。
8ビットモックアップ
ゲームデザイン・佐藤敏樹(さとーふぁみりあ)
イラスト・長谷川登鯉
2~4人用/8歳以上/10~15分
オリエント急行を走らせよう!『ファーストクラス』日本語版、10月21日発売
オリジナルは2016年、ハンス・イム・グリュック社(ドイツ)から発売された大箱ゲーム。作者は『ロシアンレールロード』や『路面電車』など鉄道ゲームを作り続けているオーライで、スイスゲーマーズ賞、ゴールデンギーク賞ストラテジーゲーム部門、国際ゲーマーズ賞にノミネートされている。輸入版はメビウスゲームズが取り扱い、日本国内でも人気を博した。
プレイヤーは鉄道会社の創業者となり、場に並べられたカードを順番にとってアクションを行い、自分の列車の価値を高め、線路を作り、列車を進めて得点を競う。5つのカードセットが入っており、そのうち2セットしか使わないのがゲームの特徴で、カードセットの組み合わせにより遊ぶたびにさまざまな展開や戦略が楽しめる。殺人事件や盗難事件が起こることも。
ゲーマーズゲームが多いこともあって日本語版がなかなか出なかったハンス・イム・グリュック社。アークライトが日本語版を発売するのは『サンクトペテルブルク(第2版)』『シュタウファー』『マルコポーロの旅路』に続いて4タイトル目。
内容物:カード327枚、木製コマ40個、コイン48枚、タイル10枚、プレイヤーボード4枚、得点ボード1枚、親コマ1個、証拠トークン26個(カードサイズ:44×67mm)