シュピール’17:プレビュー~授賞式
シュピールの開催前日は記者会見が終わると、新作プレビューに案内される。テーブルに新作がずらりと並べられ、その出版社の担当者が説明してくれる。また、メディア用にコスプレをした人たちが新作を紹介しているところもある。気がつけば2時間が経過していた。
ドイツ年間ゲーム大賞を受賞した『キングドミノ』は続編の『クイーンドミノ』をリリース。王様と女王様のコスチュームで展示。
シュピールヴィーゼからリリースされる『ノリア』のデザイナー、S.ヴァーグナー氏。第一作であるがドイツ年間ゲーム大賞の奨励賞を受けたことで注目されている。
ドイツゲーム賞を受賞した『テラフォーミング・マーズ』のデザイナー、J.フリクセリウス氏。シュピールでは拡張セットを発表する。
フッフ社から『ガンジスの藩王』をリリースするブラント夫妻。『脱出:ザ・ボードゲーム』の売れ行きも好調である。拙著『ボードゲームジャーナリストが行く!』でインタビューを受けて頂いたので献本。近くに立っていた青年は長男のルカス君で、『いかさまゴキブリ』の頃と分からないくらい成長していた。
日本語版も発売される『私が夢みるとき』の展示はベッドに寝ている人に妖精と悪魔が囁いている図。
トイレゲームの『ピピ・パーティー』と『フリッツェカッケ』。どちらも原理的には『黒ひげ危機一発』のキッズゲームだ。
それから準備に大忙しの会場を回り、いったん宿に帰ってからドイツゲーム賞授賞式のために会場に戻る。
今年から始まった『イノシュピール』の審査員。ドイツの地方ボードゲーム祭主催者、ボードゲーム評論家、ボードゲーム雑誌編集者、ボードゲームポッドキャスター、ボードゲームショップ店長、ボードゲームニュースサイト管理人の7名のほか、授賞者としてエッセン市長が参加した。
ドイツゲーム賞の4~10位受賞者たち。『エルドラド』にちなんで探険隊の服装で臨んだR.クニツィア氏がひときわ目立っていた。
1位に輝いた『テラフォーミング・マーズ』のJ.フリクセリウス氏(スウェーデン)とドイツ語版発売元のシュヴェアクラフト出版の方。フリクセリウス氏によれば「ゲームは火星が舞台だが、地球環境を考えるきっかけになれば」という。
アズール(Azul)
ほしい色のタイルを取られた!
5色のタイルを集め、つながるように並べて得点するゲーム。『センチュリー:スパイスロード』をリリースしたプランBゲームズの2作目で、W.クラマーとの共作で知られるM.キースリングを起用した。厚めのプラスチックタイルを使った贅沢なコンポーネントと、イスラム風のモザイク模様が目を引く。
毎ラウンド、何枚かある皿に袋からランダムに引いたタイルを4枚ずつ載せる。手番にはそのうち1つの皿を選んで、そこから1色だけ取って自分のボードに置き、残りのタイルを中央に戻す。こうして中央に戻されたタイルからも1色選ぶことができる。
自分のボードにはタイル置き場として5つの列があり、1つの列は全て同じ色のタイルを置かなければならない。5つの列はそれぞれ1~5枚までタイルを置くことができ、それ以上取ってしまうと失点。
順番に取っていって場のタイルが全部取られたらラウンド終了。埋まった列のタイルを右に送り、得点を入れる。このとき、縦か横に連続してタイルを置くと得点が増えるので、つながるようにタイルを置くとよい。
再びタイルを補充して次のラウンド。誰かが横に一列タイルを揃えたらゲーム終了となり、縦の列を揃えるボーナスと、一色のマスを全部埋めるボーナスが入って合計得点を競う。
運の要素はなく、次のプレイヤーの狙っていそうなタイルを読んで先に取ったり、逆に取りたくないタイルを残してあげたりといった駆け引きがある。それと同時に、自分がどのタイルを取っていけば得点が高くなるかを考えなければならない。
シュピール会場で、プランBゲームズと合併したエッガートシュピーレのブースで4人プレイ。さくさくプレイで30分ほど。列を揃えてタイルを送ることを優先しすぎて、縦横につながらず得点が伸び悩んだ。karokuさんが縦の列を揃えて高得点を狙える態勢を整えているうちに、横の列を揃えたふうかさんが1位。
縦横をつなげて得点を増やすことを優先しても、タイルが揃わなければ送ることができない。場に残っているタイルは何か、そのうち何がなくなりそうかを観察して、状況判断していくのが面白い。情報は完全公開であるところは好き嫌いが分かれそうだが、言語依存がなく、ルールも直感的でよい。
Azul
ゲームデザイン・M.キースリング/イラスト・P.グーラン&C.クイリアムズ
2~4人用/8歳以上/45分