数字型タイルを上手に重ねよう『ナンバーナイン』日本語版発売
アバクスシュピーレ(ドイツ)が今春発表した新作。メビウスゲームズは今年になって『グリュックス』『デジャブ』『コンプレット』と次々と日本語版を発売しているが、これらの作品が輸入版の売れ行きが好調なため日本語版を決定したのに対し、『ナンバーナイン』は最初から日本語版を取り扱うことにした。最初から日本語版を取り扱うのは『サンファン』(2004年)以来だという。
0~9のタイルとカードがあり、カードをめくって指示された数字のタイルを自分の前に並べていく。下に空間がなく、2枚以上のタイルの上になる場所があれば上に重ねることもでき、階層が上がるほど得点も増える。さまざまな形のタイルを密に並べ上にタイルを置けるスペースをどれくらい取れるか、パズル思考が求められる。
輸入版では得点をメモに記録することになっていたが、日本語版では箱が得点トラックになっており、手持ちのコマなどを使って記録できる。『ナンバーナイン』はこれまで12カ国語版が制作されているが、このような工夫は日本語版だけのものとなっている。
・メビウスおやじ:ナンバーナイン
光合成(Photosynthesis)
太陽光を求めて
『キングドミノ』のドイツ年間ゲーム大賞受賞で波に乗るブルーオレンジゲームズ(フランス)がシュピールで発表した作品。太陽エネルギーを得て成長する木々の位置取りを戦略ゲームにした。立体の木のコンポーネントと、周囲を回る大きな太陽が目を引く。
森は同心円状に広がっており、中央が最も肥沃である。各プレイヤーは周辺部に最初の木を配置してスタート。各ラウンド、最初に太陽が移動し、太陽光エネルギーの分配が行われる。各プレイヤーは木の高さに応じて光ポイントを得るが、光ポイントを得られるのは日向になっている木のみ。大きい木の陰になってしまった木は光ポイントを得られない。得点の高い森の中心部ほど木の陰になりやすいところが悩ましい。
次に、この光ポイントを使って手番順に木を成長させる。木は種を飛ばし、その種が木になり、3段階にわたって成長していく。種を飛ばすだけならば1光ポイントでいいが、一番大きい木にするには3光ポイントが必要だ。太陽が移動していく方角を考え、どこに種を飛ばし、どの木を成長させるか、後手番のプレイヤーの動向も加味しつつ慎重に考えよう。
得点は、一番大きい木に対し、4光ポイントを使って寿命を終わらせたとき(ボード上から取り除いたとき)に発生する。得点タイルは先に取るほど高いが、一番大きい木を取り除くと次に得られる光ポイントも減少するので、ほどほどに残しておく必要もある。このあたりのさじ加減も面白いところだ。
太陽が森の周りを3周したらゲーム終了。使い残した光ポイントも得点になり、最も得点の高いプレイヤーが勝利する。
4人プレイで45分ほど。karokuさんが高い木を上手に残して光ポイントを集め(木陰でも高くなれば光ポイントを獲得できる)、終盤に一気に得点化してダントツ一位。私は得点の高い中心部に入り込めなかったため、周辺部で促成栽培する戦略を取ったが及ばず。
駆け引きはあっても運の要素はないので先読みが苦しいところもあるが、種を日当たりのいいところに飛ばせたり、成長して光ポイントが急増したりできると嬉しい。森の中では植物たちが静かにこのような激しい戦いを繰り広げているものかと想像した。
Photosynthesis
ゲームデザイン・H.ハッハ/イラスト・S.ミラモン
ブルーオレンジゲームズ(2017年)
2~4人用/8歳以上/45~60分