ヌースフィヨルド(Nusfjord)
魚はみんなのために
スウェーデンの漁村で、漁業会社を経営するボードゲーム。U.ローゼンベルクのシュピール’17新作で、スカウトアクションでは「規定票数に届かなかったものの評価の高かった作品」として挙げられている。ローゼンベルクお得意のワーカープレイスメントと、森の開墾と建物の建設に、株券による資金調達を加えている。
毎ラウンド、各プレイヤーは漁獲量に応じた魚を獲得する。しかしその全部を自分のものにできるわけではない。まずは村の長老に、それから自社株をもっている他のプレイヤーに分配しなければならず、その残りも「積立」というエリアに保管しておかなければならない。漁獲量は、船を建設すればするほど増えていく。
次にワーカープレイスメントによるアクション。森の間伐や伐採で木材を、株券の発行で現金を調達し、これに魚を加えて建物や船を建設していくというセットコレクションが基本的な流れ。そのほかに長老を新たに雇うと、毎ラウンド魚を配らなければならなくなるが自分専用のアクションスペースになる。
建物は建物置き場に並べられており、コストを支払えば好きなものを自分のボードに置くことができる。即時効果から何かのタイミングで発動するものまでさまざまあり、さらに3つのデッキが用意されていて1ゲームでは1デッキしか使わない。その中で自分の戦略に合わせた建物を建てたり、コンボを考えたりするのが楽しい。ゲーム後半には、もっと強い建物が手札として配られ、自分だけが建てられるようになる。
一方、長老は固定メンバーだが、2枚ずつ重なっていて上から順に雇わなければならない。長老に合わせた戦略を考えていくことも必要である。長老はプレイヤー固有のアクションスペースになるが、雇えば雇うほど毎ラウンド魚を取られるので雇い過ぎに注意。またワーカーはゲームを通して3つから増えない、どこに置くかどんどん悩ましくなっていく(これでゲーム時間が延びにくくなっている)。
アクションが終わったら帰宅フェイズとなり、何ラウンドかに一度、建物カードの補充が行われる。7ラウンドでゲーム終了。建物と船、獲得した株券、現金が得点になり、公開しなかった株券、建物を建てられなかった空きスペースが失点になって合計点を競う。
4人プレイで90分ほど。鴉さんが建物のコンボをうまく作り、1回のアクションでいくつかの行動をまとめてできる体制にして1位。私は長老の効果で建物をたくさん作る方向で進めていたが、後から来た建物のため船を作る方向に方針転換。しかしどちらも大きく伸ばせなかった。
建物と長老カードの効果を眺めていると、もっといろいろな戦略が見えてくる。デッキを変えなくても、自分が使わなかったカードでまた遊びたいと思える作品である。
Nusfjord
ゲームデザイン・U.ローゼンベルク、イラスト・P.ゼーダー
ルックアウトシュピーレ(2017年)
1~5人用、12歳以上、プレイヤー人数×20分
『キルDr.ラッキー』19.5周年版、日本語版で発売
1996年、チーパス・ゲームズ(アメリカ)から出版されたボードゲームが、20周年の半年前にしてフルカラーでリメイクされた。プレイヤーは全員、ラッキー博士に恨みを持ち、その殺害を試みるが、誰かが殺害を試みると、ほかのプレイヤーは妨害してくる。隙をついて2人きりになり、ラッキー博士を殺害したプレイヤーが勝利する。
山札が尽きた瞬間にゲームが加速するルール改定により、緊迫感はそのままに大きくプレイ時間を短縮。またヴァリアントルールとしてゾンビとなって蘇った博士の魔手をかわして屋敷から脱出する「ラッキー邸からの脱出!」も収録している。
同じテーマのカードゲーム版『ゲット・ラッキー』も日本語版で発売中。