ゲームサイトを考える集い

play:gameデータベース初心者向けコンテンツ普及について国産ゲームのレビューまとめ

2005年5月14日(土)、都内(江東区)で新作ゲームを遊ぶ会&ゲームサイトを考える集いが開催された。参加者は24名。参加者のひとりである益田ラヂヲさんが参加者やレポートをまとめたページを作ってくださり、その中でも特にsirouさんが経過をまとめた上で発展的に考察を進めてくださっているので、そちらを参照していただきたい(手抜きですみません)。

最初にあいさつをしたとき、体が震えるほど緊張した(冷房が効きすぎていたからかも)。24人もずらりと並ぶと、フリートークという雰囲気ではない。司会として場を和ませる努力が足りなかったせいで、発言するにはかなりの勇気を要する状態となってしまったが、さすがそこは趣味のこと、沈黙が続くことはなく、発言順を整理しなければいけないほどに発言が相次いだ。盛り上げて下さった参加者の皆さんにはほんとうに感謝をする次第である。

この会の主旨であり結論ともなったのは、ボードゲームをただ遊ぶだけでなく、その情報を発信するという趣味でつながれた人脈作りである。共通の目的を設定して皆でそれを達成しようというつもりはない。同じボードゲームサイトではあってもその方向性はさまざまだし、各管理者は他のサイトに気兼ねなく自分の「これを伝えたい!」を思い思いに表現してほしい。

その上でのこのような集いは、マンネリで更新が滞っている人、更新はしているけれども何か変化を求めたい人、あるいは何かやりたいけれども思いつかなかったり、時間や技術がなかったりする人が、お互いにもっている情報を交換して使えるなと思うことがあったら足しにしてもらいたい、あるいは気が合えば親交を深めてサイトでもコラボレーションでもはかってもらいたいというような意図がある。

1時間目のテーマ「play:gameデータベースの活用」は、遊んだゲームのデータを調べる時間を節約したり、時間をかけないでプレイ記録をつくったりというメリットを紹介しつつ、より使いやすくするためのアイデア出しをした。2時間目のテーマ「初心者のためのページ作り」は、初心者をどう定義するかという問題はあれ、ボードゲーム一般に何となく興味がある人が検索でふらりと訪れたときなどにどういう内容をどういう語り口で書いておくかということが話し合われた。3時間目はサイトの話から少し離れ、国産ゲームをより多く取り上げること、邦題はさまざまあるので原題を併記するようにすると分かりやすいこと、あとはゆうもあが運営する日本ボードゲーム大賞についてどのような見方がなされているかを伺った。

話し合われた内容をサイト運営のヒントにするというだけでなく、サイト運営者の素顔をオフラインで見て、その人間を知るということが非常に楽しいことだったと思う。翌々日まで後を引くような興奮があった。

ただゲームで一緒に卓を囲んだというだけでは、その人がどんな人かなかなか見えてこない(それだけで楽しい人もいますが)。もちろんおしゃべりなどはおいといて単純に遊びたい人もたくさんいるので、どんな集まりにもというわけにはいかないが、予め周知しておけば、ゲームの合間に軽食でも取りつつ軽いおしゃべり(今回は軽くなかったが)をはさむのはとてもいいことではなかろうか。

play:gameデータベース

play:gameデータベースは、さまざまな可能性を秘めた宝庫だ。ある程度のボードゲーム知識を前提にしているので誰でもというわけにはいかないが、何種類か遊んで少しはまり始めた人ならば、データベースを利用することによって新たな知見が生まれ、趣味を豊かにすることができるだろう。

ここではいくつかの利用例を挙げてみたい。

新作の評価を得る
クニツィアの新作『バベルの塔』は、おそらくもう少しでメビウスから一般発売されるだろう。買いか否か? そんなときは評価コメントリスト。メビウス便など真っ先に遊んだ人が感想を書き込んでいる。投稿者がまだ少ないのでそれほど盛り上がっていないが、増えれば購入の参考にできるだろう。
ゲーム検索
今日のゲーム会は7人になりそうというとき、7人でできるゲームは何があったかな?なんていうときに、人数で検索してみる(7人で遊べるゲームの検索結果)。同様にクニツィア大会とか、さらには7人でできるクニツィア大会なんて調べ方も(さすがにほとんどないが)。テーマ、エリア・時代で検索することも可能だ。きっと思わぬゲームに出会えることだろう。
データを使う
自分のホームページでゲームを紹介したいとき、データを自由に使うことができる。原題、発売年、プレイ人数、プレイ時間、対象年齢、デザイナー、メーカーetc. これまでは箱を開けたりして調べていたものが、簡単にコピーペーストで利用できる。さらには、データベース上で公開されている画像も、自分のホームページで使ってよいことになっている。
プレイ記録をつける
ドイツ系ゲームの特徴は多種類をどんどん回していくところにある。何のゲームを遊んだか、記録したいと思っていても自分のホームページにレポートを書くほどの時間や気力がないという人は多いのではなかろうか。そんなときにプレイ記録(けがわさんの記録)。ユーザー登録して、ゲームタイトルを表示→ゲーム評価を編集→プレイ日/回数を入力でリストに反映される。所有ゲームを把握するのにコレクションリストもある。公開・非公開も選択可だ。
データ登録
だんだんデータベースの醍醐味がわかってきたら、自分から評価してみたり、データを入力してみたりしてみよう。登録されていないゲームも、原題・邦題(仮でも可)・読み仮名・プレイ人数の4項目さえ入れれば登録できる。

慣れるまでは手間取るかもしれないが、参加者が増えるほど有用で楽しくなっていくはずだ。使いにくい、使い方がわからないという人に使い方ガイドが用意されることになっている。

読者参加型サイトは、最初は盛り上がってもすぐに伸び悩むケースがこれまでに多かった。その主原因は書き込みへの反応や見返りがないということにある。play:gameデータベースも読者参加型サイトであるが、1人の管理者vs参加者全員というかたちではなく、参加者が相互にギブアンドテイク(情報を得る・情報を出す)の交流を進めることによって、みんなで大きくしていければいいなと思う。

初心者向けコンテンツ

決して悪いことではないが、ボードゲームのサイトが全体としてマニアの域を出ていないのは事実である。その理由はボードゲーム自体の敷居の高さに帰するところが多いが(輸入品であることによる値段や言語の問題、ルール説明の煩雑さ、遊ぶために必要な人数の多さ、そしてそれらに基づく趣味としてのマイナー度など)、選択的にしか情報を得られないというインターネットの特性もあるのだろう。

そんな現状から、このままでは閉じた世界になってしまうと考えて、ボードゲームになじみのない人にも訴えるコンテンツを作ろうという人が出始めた。そういう方向性を持っているサイトとしてsirouさんのLet’s Play Boardgame!や双六屋カゲゾウさんのAll Aboutカード&ボードゲーム、古原さんの熊本ドイツゲームの会、あきおさんのgioco el mondo、あとゆうもああたりが挙げられる。私のサイトでは「まえがき」がこれを意識している。

「初心者」というのは語弊があるが(スタイル、好み、経験から「初心者/経験者」の項参照)、ボードゲームになじみがない人を広く意味している。もちろん、そういう人向けにどのサイトもコンテンツを作るべしというのではない。そういうコンテンツを作るのが好きな人向けに、どういう方法があるかを考えていきましょうというわけだ。考える集いでは、初心者とは何か、普及とは何かという大きな議論になったが、ここではそれをひとまずおいて、共有できる技術的な話を記録する。

デザイン面
ウェブページ全般に当てはまることだが、色づかいや文字の大きさ、レイアウトの見やすさ、サイト構造のわかりやすさは基本。考える集いではデータを軽くすることやフレームを使わないことも提案された(sirouさん)。素人がいじるには限界があるのも確かだが、できるだけのことはやってみたい。ちなみにTGWも素人仕事だが、トップページはテーブルタグでレイアウトをし、スクロールせずにある程度読めるように字を小さくしている。一方それ以外のページはスタイルシートでline-height : 20pt;font-size : 12pt;margin-left : 80px;margin-right : 30px;を指定し、ゆったりとした配置にしている。自分のサイトは気づきにくいことが、他のサイトを見ていて「こういうのいいな、イタダキ!」「これは見にくいな。うちも気をつけよう」などと思って自分のサイトにも反映することがある。
写真の多用
百聞は一見にしかず。写真が1枚あるだけで、まどろっこしい説明を省くことができる。moonさんのページのように、あまり重くなくてきれいな写真を載せたいものだ。moonさんは同じアングルで何枚も撮って、その中でよかったものにさらに何度も色調補正しているとのこと。ボードゲームは接写が多くなるためきれいに撮るのはなかなか難しい。ひとまず逆光にならないように!
専門用語は丁寧に
私の場合、例えばプレステのゲームの話を聞いてもちんぷんかんぷん。いつも遊んでいる人にとっては常識でも門外漢にはちっともわからないこともある。メーカー名、デザイナー名、過去のゲーム名、ゲーム用語など使うならば説明をつけてもらえるとうれしい。ほんとうに予備知識のない人に話をするならば、全く使わない方向で努力してみたい。ゆうもあのレビューや、『ボードゲーム天国・王国』のレビューは、一般向けを意識している。
キーワード
一般の人がちょっとボードゲームに興味を持ったとき、何で検索するだろうか。gioco del mondoのあきおさんによれば、ドイツゲームをメインに紹介しているサイトにも関わらず最も多い検索ワードは「おばけ屋敷ゲーム」だという。「ボードゲーム」「モノポリー」「人生ゲーム」「ウノ」「おばけ屋敷ゲーム」「カタン」etc. そんな人のためにちょっとしたコンテンツを用意しておくのも有効かもしれない。おばけ屋敷ゲームや人生ゲームそのもののレビューを書くのではなくて(もちろん書いてもいいですが)、そういった超定番ゲームから現代ボードゲームへの橋渡しができれば素敵だろう。
ボードゲーム以外との関連付け
ボードゲームのことだけを書くのではなく、親子、教育、ドイツ、合コン、ギャンブルなど他のものと関連付ければ、それだけ間口が広がることになる。例えば『カルカソンヌ』のレビューをフランスの歴史ある街の美しい風景から説き起こしてみたり、パーティーゲームを軽いノリで紹介してみたり。All About カード・ボードゲームはマニア向けだけにならない切り口の工夫がなされている。レビュー1つとっても、いろいろな切り口で書けるはずだ。
2つの趣味をつなげる
ネットサーフィンでボードゲームのサイトに流れ着く人は、サイト管理者の別の趣味を入口にしていることも多い。例えば「小林製薬」や「ウルトラセブン」で検索して来た人が、トップページから「ボードゲーム」をクリックとか、ブログの日記にボードゲームと関係ないキーワードで流れ着いたりとか。「自分と同じ趣味をもっている管理人が、何やら面白そうな遊びをしているぞ?」と思わせることだ。具体的にはボードゲーム以外のコンテンツを作るか、そこまで行かなくてもブログに別の趣味のことを書くなどの方策が考えられる。
面白さを伝えること
親切なサイト設計は大事だが、伝えたい情熱は大事な原動力となる。正直に言って、実際に遊ぶ楽しさを文字で表すことはとても難しい。でもそんな不自由さを乗り越えて、他の趣味にはないボードゲームならではの面白さを少しでも伝えられたら、少なくともいくらかの興味をもってもらうことはできるだろう。語り口は人それぞれでも、真摯な態度と遊び心を両立させて、読者の心に届く文を書きたいものである。
そしてリアル世界へ
百聞は一見にしかず、百見は一遊にしかず。熊本ドイツゲームの会は、ボードゲームの説明を読んで遊びたくなった人に実際に遊ぶ場を作っている。リアルな世界とリンクしているサイトはそれだけで価値が上がる。その意味でサークルのサイトは開催日時を更新するだけでも意義があると言えるだろう。

これらのアイデアは、ゲームサイトを考える集いで参加者から出された意見を整理したものです。

普及について

インターネットを通してボードゲームを普及させるといったとき、何か違和感を感じることがある。まずボードゲームは普及すべきものなのかという根本的な問題、次に普及がインターネットでできるのかという問題、そして趣味程度の労力で普及になるのかという問題、ほかにあるかもしれないが大きく分けてこの3つの問題を考え、違和感の解消を目指す。なお下記の考察は普及が楽しいものだという前提で書かれているので、苦痛にしか思えない人には当てはまらないかもしれない。

ボードゲームは普及すべきものなのか
普及させるというからには、現在はまだ知られていなくても、それを導入することが世の中の役に立つものでなくてはなるまい。水洗トイレの普及、携帯電話の普及とは言っても、インド哲学の普及なんて話には(おそらく)ならないのである。ボードゲームはその点どうか。愛好者にとっては素晴らしいものにちがいないが、誰にとっても役に立つものとまで言うのは難しい。無数にある趣味のひとつといってしまえばそれまでで、人為的に普及させなくても好きになる人は自然に好きになるだろうという考え方もある。「考える会」では普及を考えなければいけない趣味という時点で終わっているのではないかという意見も出された。
ボードゲームをひとつの趣味と捉える限り、確かに普及すべきものとは言い難い。しかし、ここで楽しいという以外のボードゲームの効用を考えてみると、普及する価値が見えてくるのではないか。例えば親子・友達のコミュニケーションの向上、社会性の育成、思考力・発想力・交渉力の強化など(熊本ドイツゲームの会「ドイツ製ゲームの効能」、ゆうもあ「ボードゲームとは?」)。
こう列挙してしまうと堅苦しいが、結果としての効用であってはじめから意識しておく必要はない。楽しく遊んでいるうちにためにもなるといった寸法だ。ただ楽しめばよいものに無理に理論付けするのは好きではないが、知らない人に試してもらいたいと思わせる魅力や価値があることは疑いがない。
「このゲームは最高!」「テンサーイ!(意味不明)」
普及がインターネットでできるのか
家族や友達に教える、サークルを開く、地元の文化祭に出展する、学校・保育園・老人施設などのレクリエーションに紹介するなどのリアル世界での普及活動は間違いなく実効性が高い。翻ってインターネットは顔が見えず、実際に遊ぶわけでもない(BSWなどオンライン対戦もあるがドイツゲームに関してはまだまだ一般的ではない)。ネットサーフィンでゲームサイトにたどり着くことなど稀だろうし、そこにいくら面白い面白いと書かれていたところで、実際に遊んでみなければわからない。このためオンラインで普及することなど無理だろうという考えもある。
確かに、全くボードゲームのことを知らず、また知りたくもない人をオンラインだけでボードゲームの世界に誘うことはまずできない(オフラインならば不可能ではない)。しかし、ちょっとでも興味があれば、その興味をさらに増やすことはできるのではないだろうか。0.1を1に、1を2に。私のサイトは一足飛びに9を10にしようとしてしまっているが、どんな興味の段階であれ、情報に接して興味が増すならばそれこそが普及と言えるだろう。
インターネットの最大の強みは時間や距離の制約がないことだ。全く知らない人にも細やかに影響を与えられる。
「♪ああ日本のどこかに私を待ってる人がいる……」
趣味程度の労力で普及になるのか
ひとにぎりの関係者を除き、たいていの人にとってボードゲームは道楽である。「考える会」では本気で普及するならば職業になってしまうのではないかという話にもなった。例えば日本ではボードゲームを手に入れる手段が少ないのが第一の問題だが、じゃあ札幌なり、仙台なり、大阪なり、博多なりに新しく店を開くのかと言われれば片手間には決してできまい。マスメディアで取り上げてもらうほどの金もコネもない。
しかし、それは愛好者に普及する道がないことを意味しない。千人や一万人にボードゲームを知ってもらうことが普及とは限らないからだ。むしろ利益の有無に影響されない愛好者だからこそできる普及のあり方があると、私は思う。ゲームを買う、そして身近な仲間で遊ぶ、ブログにちょっと感想を書いてみる、ゲームマーケットに参加する……そんな普通のゲーマー生活だって、意識するしないに関わらず普及の一端を担っていることになる。彼女1人でも普及は普及。肩肘を張らなくても、普及という看板を大々的に上げなくても自分が楽しいと思える範囲内で普及はできる。
だがさらに、職業とまではいかなくとも、もっと労力を惜しまなければ惜しまないほど、その途中は苦しいとしてもその結果得られる喜びや満足感はそれだけ大きなものとなるだろう。
「わたし、普及するつもりなんてこれっぽっちもなかったんです、でもいつの間にか……」

それではどういうスタンスで普及するか? オンラインにせよオフラインにせよ、おせっかいや押し売りで嫌がられないように気をつけながら、潜在的なニーズをどうやって掘り起こしていくかは、別に考えていかなければならない。

国産ゲームのレビュー

ドイツのボードゲーム市場に出品される世界のゲームは年間500タイトルを数えるまでになったが、実は昨年発売された国産ボード・カードゲームの総数も50を超えた。キャラクターに完全に依存しているもの*1や双六に毛が生えただけのようなもの*2、海外作品の日本語版*3も少なくないが、意欲的な作品も見られるようになってきた。

ところが、新作の国産ゲームのレビューや評価を見られることは意外に少ない。場合によっては「2ちゃんねる」でちょっと書かれている程度ということもある。そこで多くが輸入品に傾倒しているボードゲーム愛好者にとって、国産ゲームの情報に目を向ける機会を増やすことが必要になってきている。国産ゲームのレビューが少ないのはなぜか、そしてそれはどうすれば増えるのか。

一番の原因は、国産ゲームを遊ぶ人が、質の上で輸入品を選ぶボードゲーム愛好者ではなくて、ウェブに現れない無数の一般人たちだという構造的なものであろう。『おばけ屋敷ゲーム』や『どこでもドラえもん日本旅行ゲーム』などはボードゲーム愛好者にはほとんど話題にのぼらなかったけれども、『カタン』や『カルカソンヌ』などと比べ物にならないビッグセールスを記録している。明らかに、遊んでいる人が別なのだ。愛好者でなければ、わざわざ遊んだゲームのレビューや評価を書くことは少ない。

次に、多くのゲームサイトでテーマ設定が「輸入ゲームの紹介」になっており、仮に管理人が遊んでも熱意を込めて紹介するには至らないということが考えられる。国産ゲームは言わずもがな、紹介しなくてもみんな知っているだろうという安心感が、結局誰も知らないという結果を生み出しているのではないだろうか。

3つ目は、上記の2つと密接に関連するがボードゲーム愛好者の中にある「所詮国産なんて大したことがないだろう」という先入見。日本人には昔から舶来物を特にありがたがる習性があり、特にヨーロッパのメルヘン、ドイツの品質、木のぬくもりなどというとはじめから好意的になる。それはそれでかまわないのだが、代わりに国産がその内容に関わらず不当に貶められてはいないだろうか。『アルゴ(ダビンチコード)』がドイツで評価されて始めて目を向けたという愛好者も少なからずいただろう。

そこでレビューを増やすための方策だが、まずは愛好者が遊ばなければならない。「考える会」では、サイト管理者同士がゲームを貸し借りして、1回でもいいから遊んでみるという提案をした。ちょっと遊んでみたいけれど、買いたいというほどではないというのが正直なところ。だったら借りて遊んでみようというわけだ。それが難しければ、サークルのラインナップに国産ゲームがあったら、はじめからバカにしないで遊んでみるという現実的な案も考えられる。意外な発見があるかもしれない。

次に遊んだらレビューや評価をどこかに書くこと。愛好者の目から見たレビューは、むしろメジャーな輸入品の紹介より情報的な価値が高い。見たい人も多いだろう。できれば「2ちゃんねる」でなく、自分のサイトかplay:gameデータベースに。

そしてレビューを書く上では、国産という点をまず高く評価したい。輸入品と比べれば劣る点はいくらでも見つかるだろう。それを並べ立てて面白くないと書くことは簡単だ。しかしそのゲームは、輸入品がこれだけ入ってきている日本で、メーカーが野心に燃えて発売したものなのだ。同じ要素でも、国産品にそれがあることが大きなプラスになる。提灯記事を書くのでは決してない。メーカーの意気込みを鼓舞し、次につながっていくようなレビューを。

発売されるゲームが玉石混交なのは、日本もドイツも変わらない。愛好者同士で情報を共有しながら「玉」に焦点をあて高く評価することが、そのゲームのメジャー度を上げ、メーカーに製作の指針を与え、より優れた国産ゲームが増えて、国産ゲームの発展にもつながっていくと思う。

これからは国産ゲームの時代だ!

*1:キャラクターをのせること自体はかまわない。『ミッキー&フレンズ5リンクス』のような好作もある。キャラクターを通してボードゲームに親しんでもらうという考え方もあるだろうが、ゲームとしての機能がお粗末なものはもはやゲームではなく、単なるキャラクター商品と呼ばざるを得ない。

*2:双六がボードゲームの基本であることはその通りだが、世界標準のクオリティという観点から言えば、その先に何かがほしい。

*3:質の高いゲームが刺激になるという点では評価できるし、現在高い人気を集めているのは事実だが、そろそろ日本でも独自に発展し始めてもいい時期ではないかと思う。

まとめ

人数が20人を超えていた上に進行が下手で、当初目論んでいたフリートークには程遠かったが、それにもかかわらず参加者の中には次回を期待する声が上がっているのは嬉しいものである。

次回があるとすれば、どんなテーマがいいだろうか。ムソウさんは「みなが協力して(知恵を出して)できること」「こんなコンテンツあったらいいな」「サイトを持っている人が、参加者に直接サイトの感想などを聞く」という提案をなさっている(EasyBoardGames)。

これで思い出したのが、少し前に行った当サイトの読者アンケートで、どういうコンテンツを増やしたらいいかというもの。多い順に以下のような希望が出ていた。

  1. 新作レビュー
  2. インタビュー
  3. リプレイ
  4. play:gameデータベースとの連携
  5. 評価システム
  6. 特定ゲームの研究
  7. サークル紹介
  8. フォーラム

新作レビューは、ブログでレビューが増えた現在でもまだ需要が高い。私もそうだが、ゲームを買うか買わないか、ウェブのレビューをあちこち読んで判断するという人が多いからだろう。逆から見れば、新作を遊んでレビューや評価を出すだけのサイトでも、皆に見てもらえるということだ。新作はどんどん出るから、サイト更新の動機にもなる。新しいものを追うというのは、サイト運営の大きな方向性となりうるだろう。

インタビューやサークル紹介、イベントの参加レポートなど、リアルな動向を反映したものも見たい人が多いようだ。誰もがどこにでも足を運べるわけではない。実際に見聞した情報というのは、二次情報が氾濫するウェブ上では貴重だ。

リプレイは、『ノイエ』や『シュピール』、『ボードゲーム天国・王国』など紙媒体では見られるが、ウェブではまず見かけない。作ろうとしたことがある人ならば分かると思うが、非常に時間と手間がかかるのだ。まずゲームの魅力が伝わるようにだいたいの筋書きを作っておき、プレイ中は録音と経過撮影をし、それをまとめる。そこまでするのはさすがに難しいとしても、例えば外神田ドイツゲー情報局(仮)のようなネタリプレイも面白い(ハカセ大好き)。

私が読みたいのは、メタ・ゲーム的なコンテンツ。すなわちボードゲームを取り巻く環境について論じたものが読んでいて楽しい。ボードゲーム通信のボードゲーム論、moon gamerの創作ゲームのコンポーネントになりそうなグッズ収集、ボードゲームを始めようのインストの方法研究、All aboutのゲーマー名言集、河内ゲームクラブの創作ゲーム考など。当サイトの海外事情コーナーも、自分が読みたいと思ったことが翻訳の動機になっている。あとはたかのさんがゲームマーケットで発表している漫才本のような、ボードゲームをネタにしたお笑いがウェブにもあったらいいなと思う。

メーカーの中には、サイト管理者にゲームを提供して紹介してもらうというところも出てきた。ゲームサイトを見る人は相当の愛好者に限られるので、実際どれだけ一般への波及効果があるかは分からないが、ウェブのもつ影響力が注目されてきている証拠であろう。意識するにせよしないにせよ、ウェブの強みをうまく生かせるようサイト管理者同士のつながりを大事にしていきたい。まだお会いしたことのない方も、いつか直接にお話しできることを願っている。ボードゲーム情報を発信しているという共通点で結ばれた同好の士として。

最後に話し合った日本ボードゲーム大賞については、ゲームサイトと直接関係ないので省略し(もちろん頂いたご意見は生かすよう努力します)、今回の集いのまとめはこれがおそらく最終回。参加してくださった皆さん、今度はもっと遊びましょう。声をかけられなかったゲームサイト管理者の皆さん、次回はぜひご一緒に。長らく読んでいただきました方、ありがとうございました。今回の考察が、新サイト立ち上げや定期更新のお役に少しでも立てば幸いです。

参加者の一覧&関連記事(益田ラヂヲ氏)