放課後さいころ倶楽部

月刊少年サンデー「ゲッサン」で2013年4月から連載されているボードゲームコミック。著者は『風』『ハルノクニ』『月の蛇』の中道裕大氏。京都が舞台だが、東京・高円寺のすごろくやが協力し、ボードゲームショップの風景はすごろくやから取られている。どの書店でも取り扱われているわけではないので、近くの書店で見つけられない場合は、アマゾンなどで購入しよう。
主人公は竹笠美姫。自分の世界にこもりがちな京都の高校1年生である。東京から引っ越してきた高屋敷綾、厳格なクラス委員長の大野翠と、ボードゲームを通して友情を深めていく。
第1話(2013年4月号):序章、美姫と綾の出会い。ボードゲームはまだ登場しない。
第2話、第3話(2013年5月号):美姫と綾は、翠が放課後、雑居ビルに消えていくのを目撃する。後をつけていくとそこはボードゲームショップだった。翠はそこでアルバイトをしていたのである。美姫と綾は、強面の店長と『マラケシュ』を遊ぶことになる。手加減しない店長に、翠も参加。翠の理論と美姫のサイコロ運で、勝利を納めた。3人は結束を深める。
『マラケシュ(Marrakech)』(ズライカ)はじゅうたんを敷いて、ほかの人が踏むと収入が入るフランスのボードゲーム。踏むか踏まれるかのやりとりもさることながら、本物の布製のじゅうたんが重なってボードに敷き詰められていくさまは美しい。ドイツ年間ゲーム大賞、フランス年間ゲーム大賞、オーストリアゲーム賞などを受賞している。

第4話、第5話(2013年6月号):綾に一目惚れしたクラスメイト、田上翔太は、放課後に『ごきぶりポーカー』に誘われて参加。好きな女の子と遊べる幸運に舞い上がっていた田上だったが、心理戦の怖さを思い知ることになる。田上の思いも届かず勘の鈍い綾は、田上が翠に気があると思い込む。
『ごきぶりポーカー(Kakerlakenpoker)』はカードを裏向きに出して、何を出したか嘘をつけるドイツのカードゲーム。うまく相手の嘘を見抜き、同時にだまして、自分のところにいやな虫のカードがたまらないようにする。受賞歴はあまり多くないものの、日本では伊集院光氏がラジオの深夜番組で紹介したのがきっかけでマスコミによく登場する。日本語版を発売しているメビウスゲームズでは安定して上位に入っているロングセラーだ。

第6話、第7話(2013年7月号):神社で猫を助けた美姫は、その猫の飼い主が綾の姉・花であることを知る。綾のマンションで再会した後、翠の持ち込んだ『ねことねずみの大レース』をプレイ。めったに人に懐かないという飼い猫のさくらが、なぜか美姫になつく。ゲームでどんどん進むネコに、絶体絶命の綾のネズミを捕まえたのは、さくらだった。
『ねこのねずみの大レース(Viva Topo!)』は、少しずつ追いかけてくるネコの動きを見て、自分のネズミをチーズの部屋に逃がすドイツのボードゲーム。遠くまで逃げるほどチーズが大きくなるが、ネコに捕まるリスクも高まる。スリル満点のゲームだ。ドイツ年間キッズゲーム大賞。

第8話、第9話(2013年8月号):ボードゲームを始めた頃の翠の回想シーン。同い年の女の子が面白くないといっていた翠だったが、今はボードゲームを通して心を通い合わせる仲間がいる。店内で『ハゲタカのえじき』をプレイ。計算ずくで必勝法を考えた翠と、何も考えていなさそうな綾が出すカードは次々とバッティングしてしまうのだった。
『ハゲタカのえじき(Hol’s der Geier)』は、一斉に出したカードを比べて、得点カードを取り合うドイツのカードゲーム。同じ数字を出すと無効になるという「バッティング」システムは、その後多くの作品に受け継がれた。25年前の作品だが、今なお再版が繰り返され、遊ばれ続けている。日本語版あり。

追記:作者のツイートによると、9月に単行本第1巻が発売されることが決まったようだ。
ゲッサンWEB:放課後さいころ倶楽部

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