ちょっといい話(4)ダメ出し

(長井法人会ワンポイント情報 令和7年2月号に掲載)

どのように言い方を工夫しても、ダメ出しはダメ出しなのである。一応、「業務上必要で適正な範囲内」であればハラスメントにはあたらないはずだが、その境界線は曖昧で、裁判で争われることだって珍しくない。また、適正な範囲内でも伝え方に問題があるという場合もある。このグレーゾーンをぎりぎりのところで綱渡りしなければならないのが、ダメ出しである。前回「3つほめて1つ注意する」ということを書いたが、ハラスメントにならない伝え方として、次のようなポイントがあり、私も心がけている。
①人より事にフォーカス:「最近の若い人は」「女っていうのは」「大卒のくせに」など、年齢・性別・学歴・家庭環境・血液型などをだしにして注意するのは、相手にとっては面白くないだけで効き目はない。これらは変えられないものだからである。それよりも何をしたかに焦点を当て、誰がしたとしてもそれはよくないことであるとフェアに伝える。
②自分の感情を言語化する:「お前はいつもそうだ」というように相手を主語にして話すのではなく、「私はこう思うよ(思ったよ)」というように、主語を自分にして、自分がどう感じたかを話す(「アイメッセージ」)。上から目線の決めつけにならず、自分の価値観を押し付けないで伝えることができる(「アサーション」)。
③相手の言い分を丁寧に聴く:一方的にまくし立てて説教し、「なぜできなかった?」などと相手の言い分を聴くふりをして詰問していれば、信頼関係を築くことができない。問題の原因を協力して究明しようという態度で、途中で遮らず、怒らないで聴く。たとえ無茶な言い訳であっても、きちんと聴いてもらったという感覚が大切である(「心理的安全性」)。
④期待とフォローをする:「信用していること」「失敗から学び、成長すること」を伝え、同じ問題が再び起こらないために何が必要か一緒に考えていく。改善が見られたら、すかさず褒めるというような継続的なフォローも大切だ。

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