(長井法人会ワンポイント情報 令和7年2月号に掲載)
兵庫県の斎藤知事のパワハラについて、「コミュニケーション不足が知事の批判耐性を弱め、自身を非難する言葉に冷静な判断を欠いたまま、違法不当な対応につながった」と第三者委員会が考察した。さらに周囲のメンバーが同質的な状態になったために、組織的な安全装置が働かない状態にあったという。
このようなことは多かれ少なかれ、どの会社や組織でも(あるいはどこかの国でも)起こっていることではないだろうか。従業員・部下・後輩などから批判されたとき、逆ギレして怒鳴り散らしている人は面従腹背されるだけで、誰もついていかない。怒らないで冷静に判断できること、批判耐性を高めておくことは、リーダーとして重要な資質である。
まずはアンガーマネージメント(怒りのコントロール)。普段から心に余裕を持っておき、腹が立ったら深呼吸でもするとだいぶ収まる。
世の中に100%完璧な人間はいないし、100%ダメな人間もいない。そして、たとえ100%完璧な人間がいたとしても、みんなに褒められるとは限らないし、逆に100%ダメな人間がいたとしても、みんなに誹謗されるとは限らない。それなのに、自分は(少なくともある分野においては)完璧で、みんなが称賛してくれると思い込んでいると、それが叶わないとき怒りに変わってしまう。実るほど頭を垂れる稲穂かな。能力の低い人ほど自身を過大評価し、自己顕示しようとするものだ(「ダニング・クルーガー効果」)。
また、他人の評価が全て正しいとは限らない。「誰々(部下とか嫌いな人)に言われた」という部分で腹が立つのであれば、例えば(カワイイ)犬や猫の声だと思ってみる。自分に非があって修正するべきだと思えば取り入れればよいし、言いがかりだと思えば「そうですね」とでも返事して放っておけばよい。「過ちて改めざる。これを過ちという(論語)」。冷静に判断した結果、修正するのは全く恥ずかしいことではないどころか、部下や後輩への良いお手本となるだろう。