中部経典第57巻。犬や牛の真似をする行者が、来世にどこに生まれ変われるか尋ねられたお釈迦様が三度答えず、しつこく訊かれたので、犬や牛になるだろうと説く。
それではどうすればいいのかというので説いたのが四つの業である。
- 黒業:怒りをもって生活すれば怒りの世界に生まれ変わる
- 白業:親しみをもって生活すれば親しみの世界に生まれ変わる
- 黒白業:怒りと親しみの両方をもって生活すれば、怒りと親しみの混じり合った世界に生まれ変わる
- 非黒非白業:怒りも親しみもない生活(=修行)をすれば涅槃に至る
黒白業が教えることは、罪滅ぼしのつもりで良いことをしても帳消しされないこと。いつも懺悔文を唱えているから大丈夫だと放逸な生活をせず、少しでも善を増やし悪を減らすことを心がけたいものである。
因果は閻魔の裁きやお天道様の賞罰ではなく、「類は友を呼ぶ」の法則と理解している。善い行いでも悪い行いでも続けていれば、同じ性向の仲間が自然と周囲にできてくるもの。自分自身がよい心がけをしておけば、優れた友が得られるだろうし、仲間に恵まれていると感じたならば、それは自分がよい心がけで生きてきた証拠といえる。