ちょっといい話(14)アサーション(4)断られたら代案

(長井法人会ワンポイント情報 令和7年12月号に掲載)

アサーション(自他尊重の会話)の最後は、こちらからの提案に対し、相手がどのように反応するかに応じて次の行動や選択肢を提示すること。提案が受け入れられなかった場合には代案を出す。自分の思い通りにならないのは残念だが、相手が部下や子どもであっても、機嫌悪くならずに譲歩する柔軟な姿勢が必要である。「難しいようでしたら、〇〇するというのはどうでしょうか」。

ここまでをまとめると、「み」る=事実を確認する、「かん」じる=自分の思いを伝える、「てい」あんする=選択肢を与える、「いな」=断られたら代案を出すで、「ミカンていいな」と覚える。

先日、中学校PTAの研修会で次のような台本を読み合わせた。押し付けにも言いなりにもならないよう注意して、お互いが歩み寄れる落としどころを探っていく。代案は自分の都合ばかりで考えてはいけない。相手の事情を丁寧に汲み取り、自分の思いをきちんと説明し、時には交換条件などの交渉をしてはじめて見出される。もちろん脅したりしてもいけない。

親「おかえり。今日は部活、すごく疲れたみたいだね。」
子「うん……めっちゃ疲れた。ちょっと休んでるだけ。」
親「そっか、そうだよね。でも遅くなると睡眠時間が減って心配だな」
子「うーん、でも今はやる気出ないんだよ。」
親「じゃあ、まず5分だけやってみない?」
子「……いや、やっぱりやりたくない。今はムリ。」
親「そっか、正直でいいね。いつなら始められそう?」
子「うーん……まだわかんない。」
親「時間決めるのはどう? たとえば10分休んでから、とか。」
子「……じゃあ、15分休んだらやる。」
親「いいね、じゃあ、15分経ったら声かけるね。」

この台本を読んで「子どもに甘い」と感じた親が多かったが、有無を言わせない態度は反抗期の原因になるし、仕事では離職にもつながりかねない。今時の若者が打たれ弱いのではなく、「命令―服従」という非対等なコミュニケーションが時代遅れになりつつあるのだ。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。