『マハーヴァストゥ』より、お釈迦様の誕生を知って王宮にかけつけたアシタ仙のお話。手塚治虫のブッダにも出てくるが、お釈迦様を抱きながら泣くアシタ仙に、浄飯王は不吉なことでもあるのかと尋ねたところ、こう答える。
「このような偉人相の現れ出た人は世間において仏になるが、この仏を私は見ることができぬのだ。また彼は有情の心を静め、有情を涅槃に導く聖法を説くだろうが、それを私は聞くことができぬのだ。私は彼の最上の群衆を見ることもできぬし、仏の奇瑞を見ることもできぬ。大王よ、このような我が身の大損失を見て、私は泣いているのだ」
東日本大震災の13回忌にあたり、近くのお寺に集まって坐禅と慰霊供養を行った。かけがえのない命を落とされた方々が見ることのできなかった現在を生きるものとして、「最勝の善身を徒らにして露命を無常の風に任する」(修証義)ことなく、毎日を大切に送りたいと思う(といいつつ昼寝してしまったが)。