市役所おみおくり係として、孤独死した人たちに、意地でも葬儀の参列者を探し出し、たとえ見つからなくても自腹で葬儀をする主人公(阿部サダヲ)が繰り広げるてんやわんや。
葬儀は生きている人のために行うのか、亡くなった人に意思はあるのか、それをどのようにして汲み取るのか、普段から死者に関わっているものとして改めて考えさせられるものがあった。自分の中では勝手に自明なことにしてしまっていても、ときどき問い直さなければいけないことがある。
主人公がどうしてそこまで葬儀にこだわるのか(生い立ちとか)が描かれておらず、空気が読めない、喜怒哀楽をほとんど出さない、生活感がないで、人間味は感じられず不気味でさえあった(サイコパスなのでは?)。最後は泣けましたが、心温まるという感じでもなく。最後までどういう人間なのかわからないままだったのは、死者のメタファーなのだろうか。
舞台は山形県庄内地方。海岸や平野の美しい風景が見ものです。欲を言えばでんでんや宮沢りえには庄内弁をしゃべってほしかった。