『ソーシャルジャスティス 小児精神科医、社会を診る』

著・内田舞/文春新書。アメリカ在住の医師による、コロナ禍の炎上や論破ゲームに乗らず、分断と差別を乗り越えるためのヒント。3児の母として、子育てについても多くの紙面が割かれている。以下メモ。

  • 再評価(Reappraisal):ネガティブな感情を感じたときに一旦立ち止まり、客観的に評価して、状況や感情をポジティブな方向にもっていく心理的プロセス。認知行動療法では「感情(どんな気持ちになったのか)」「考え(どんなことを考えてその気持ちになったのか)」「行動(そしてどうしたのか)」に分ける。子どもが言うことを聞かないのは、親への敬意がないからではなく、単に別のものに夢中になっているからかもしれない
  • 他愛(Altruism):抑うつやストレスを感じているときに、自分が誰かの役に立っていると思えると抑うつが和らぐという心理効果
  • エンパシー(Empathy):経験がそれぞれ異なっていても、他者の思いや経験に思いを馳せ、どんな思いでその言葉を発しているか想像する努力。「他者の靴を履く(To put yourself into someone’s shoes)」
  • アドボカシー(Advocacy):望む変化の実現に向けて社会や個人に対して相手をリスペクトしつつはたらきかけること
  • 沈黙は共犯(Silence is Complicity):横で見ているだけでは、加害に加担していることにも等しい。BLMからアジア人へのヘイトクライムにも拡張
  • 母親に端を感じさせること(Mom Shaming):母親はどんな判断をしてもなぜか責められてしまう。「母乳をあげないと子どもの発達に支障が出る」「まだ母乳あげてるの?」、「そんな小さい時から他人に預けるなんて子どもが保育園で寂しい思いをしているんじゃないか」「保育園に行かせないと社会性が育たないじゃない」
  • 色んな形、サイズ、肌の色の美しさがある(Beauty comes in all shapes, sizes and colors.):容姿や体型がどうであれ、誰でも人間としてリスペクトされるべき

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