妙法蓮華経安楽行品

『妙法蓮華経安楽行品』を講読。両祖降誕会で読むことになっているが、菩薩の交際範囲の段で身分差別・職業差別の記述(「不親近旃陀羅、及畜猪羊鶏狗、畋猟漁捕、諸悪律儀」)があって最近は読まれない。しかし本文を見ると、「いかなるものにも疑惑を抱いたり、誤った差別をしたりしない(不行不分別)」とも書かれており、この部分は「世間で差別されている者たちであっても、菩薩は分け隔てなく接する」と理解するべきだろう。

説法の心得がためになる。対機説法、人を見てその人に合った法を説くこと、理由をきちんと示すこと、たとえ話を駆使すること、対価を求めないこと。カセットテープみたいに同じ話ばかりにならないよう、気をつけなければならない。周囲に慈しみの心をもってあの手この手を考えて行動する生活こそが、このお経で説かれる「安楽な生活」である。

内容豊かで面白い話をせよ。質問を受けたときには、質問者にふさわしい意味を教え示すべきである。それを聴いて、聴問者が悟りを得るように、その意味の生ずる所以を示せ。そして、怠惰の気持を避けるべきである。また、退屈な気持を起こさせてはならぬ。賢者はすべての不満不平を捨てよ。周囲の人々に慈しみの力を振るいおこせ。賢人は幾千万億という例話を用いて、夜となく昼となく、最高の教えを説け。集まった会衆を喜ばせ満足させて、彼らから如何なる要求もないようにせよ。硬軟の食物、その他の飲食物、衣服あるいは布団、医薬品のことなど、考えてはならぬ。また、会衆に何も乞い求めてはならない。そうではなくて、聡明な人は常に『私は仏になりたい。これらの人々もまた同じである。このように、すべての人々の安楽の基となる正しい教えを、この世における幸福のためにわたしは説こう』と考えよ。

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