『超ソロ社会 「独身大国・日本」の衝撃』


著・荒川和久。この頃、婚活や少子化対策に携わって何かもやっとしていたことが解消したように思う。

「結婚規範」(「結婚して当たり前」「結婚して一人前」)が依然として高い日本では、未婚者が自己否定感を抱きがちだが、お見合いと職場結婚によって結婚する意思があまりない人も結婚していた明治から昭和の「皆婚時代」のほうが特殊だったのであり、恋愛できる人は昔から3割前後しかいなかったという。特殊だった一時代を引き合いに出しても仕方がない。それに引きずられず、結婚してもしなくても幸せになれる世の中を考えたほうがよさそうだ。

「結婚というものは、ある種の宗教に近いものだと思っている。未婚者に対して、「結婚しなさい」とおせっかいをするのは、宗教における勧誘の「入信しなさい。救われますよ」と似ていると感じるのは私だけだろうか。結婚を勧めてくる既婚者は、結婚教の宣教師であり、勧誘者なのだ。」

女性が結婚に求めるものとしてここ数年上昇しているのが「経済的に余裕がもてる」、ところが、男性が独身でいる利点としてここ数年上昇しているのが「金銭的に裕福」。「今までの社会的な関係性を放棄してもいいくらいの経済的余裕がなければ、女性はあえて結婚するメリットがない」「男性が結婚しないのは、自分のために金を使いたいから。」世知辛いなどといってはいけない。これが経済が停滞し、給与が上がらない日本の現実なのだ。専業主夫(男性の第3号被保険者)も増えているとはいえ、11万人。減少しているという専業主婦930万人に比べれば1%ぐらいしかいない。

結婚しても、離別や死別は普通にある。高齢化と晩婚化もあいまって生涯ソロ生活期間は、この30年で男性が20.3年から28.8年に、女性で27.7年から33.9年に増えたという(15歳未満までは除外)。配偶者がいても、20~30年は独りで暮らさなければならない。配偶者に頼りきりで自立できていないことはリスクが伴う。

筆者は孤独がいいと主張しているのではなく、自己決定して「ソロで生きる力」を前提に、多くの人とつながって孤独ではないと思える生き方を勧める。ホセ・ムヒカ前ウルグアイ大統領が述べた「考え方の家族」。家族のあり方が多様化する中で、血縁にとらわれない結びつきを模索できたらと思う。何年もうちに来てくれているボードゲーム仲間たちは、ちょうどそんな感じだなあと思う。

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