短大の授業で輪廻(五火二道・中有・五趣六道)について話したところ、学生の死生観に少なからず衝撃を与えたようだ。「仏教では、死んだら終わりではない」という言説は、大事な家族を亡くした方にとって悲しみが癒やされる一方、多感な青少年期には自死を後押ししてしまう恐れもある。
さらに不殺生戒の説明で、自殺した仏弟子であるヴァッカリやゴーディカを取り上げたこともあり、今回、授業の感想で「死ぬことが楽しみの1つになりました」とか、小論文で「自殺は本当にいけないことなのか」などというものが出てきて心配になっている。
「いつか、来世ででも幸せな生活をおくれる人になれるまで、さようなら。」とスマホに遺して自殺した青森の中学生も、来世に望みを託すしかなかったのかと思うと心が痛む。
若い人に死後の話をするときは、死や死後のことについて考えた後は、そこから翻って今の人生、今日の一日の貴重さについて考えるよう促したい。そして辛いことがあっても、何とか生き続けてほしいと。
お釈迦様が自殺を止めた「牛車の譬え」は知り合いに頼んでいますが典拠がまだ確認されていません。