制中によく読誦され、非常に読みにくいことで知られる『楞厳呪』を、先日の大本山總持寺での講義で刺激を受けて読解。その中身は、如来のみならず神々に帰依して、修行の妨げとなる災害や病気をもたらす悪魔の呪詛を打ち消す対抗呪文を授けるというものだった。
これだけ長いのに、陀羅尼の本体は最後の「オン オノリ ビシャーチイ ビラ・ホジャラ・トリー ホド・ホドニー ホジャラー・ホニ ハン クキ ツリョヨウ ハン ソモーコー(ॐ अनले विशदे वीरवज्रधरे बन्धबन्धने वज्रपाणे फट् हूँ त्रूँ फट् स्वाहा/オーム、火よ、輝くものよ、勇敢なる金剛持菩薩よ、呪縛よ、呪縛よ、金剛手菩薩よ、喝、フーントゥルーン、喝! よろしく!)」だけ。
転訛が激しく、特に「フーン(हूँ)」が「クキ(虎吽)」になっているなど原形をとどめていない。ひたすらなりふり構わぬ魔除けの陀羅尼だが、気象学も医学も発展していなかった頃の、雨季90日間の修行が無事であってほしいという強い願いが伝わってくる。