経典勉強会でスッタ・ニパータの『犀の角経』を講読。友人を捨て、家族を捨てて、犀の角のようにただ独り歩めという教えは、大乗仏教にはない独特の味わいがあります。
しかし45番・58番には優れた友人が見つかれば、一緒に修行していくことが勧められ、73番では慈悲も説かれます。他人を拒絶して生きることを勧めているものでは決してないことが分かります。(日本語訳は中村元『ブッダのことば』に基づく)
45.もしも汝が賢明で、協同し行儀正しい明敏な同伴者を得たならば、一切の危難に打ち勝ち、心喜び、念を落ち着けて、彼と共に歩め。
Sace labhetha nipakaṃ sahāyaṃ Saddhiṃ caraṃ sādhuvihāri dhīraṃ,
Abhibhuyya sabbāni parissayāni Eko care khaggavisāṇakappo.
58.博学で真理をわきまえ高邁・明敏な友と交われ。いろいろとためになる事柄を知り、疑惑を除き去って、犀の角のようにただ独り歩め。
Bahussutaṃ dhammadharaṃ bhajetha Mittaṃ uḷāraṃ paṭibhānavantaṃ,
Aññāya atthāni vineyya kaṅkhaṃ Eko care khaggavisāṇakappo.
73.慈しみと平静と憐れみと解脱と喜びとを時に応じて修し、一切世間に背くことなく、犀の角のようにただ独り歩め。
Mettaṃ upekkhaṃ karuṇaṃ vimuttiṃ Āsevamāno muditañca kāle,
Sabbena lokena avirujjhamāno Eko care khaggavisāṇakappo.