化粧品メーカーから納棺師に転職。数多くの遺体のメイクを手がけてきた著者のブログを単行本化。
故人と真剣に向き合うことで、誰しもおくりびとになる。だから決められたサービスだけでなく、お客様がほしいものを悟って提供することが付加価値であるという。ブログなのでタイトルも文体も軽く、死者の尊厳や救済などとは無縁のようにみえるが、実際は真摯に仕事に向き合われているのだろう。
おくりびとの原作『納棺夫日記』や、独居死を描いた『遺品整理屋は見た』のように死そのものにはあえて触れず、あえて死体の見栄えだけにこだわるというのも、ひとつの態度である。遺体メイクの練習や遺体の肌年齢など、男性の私には興味が持てない話もあったが、女性ならいろいろ考えさせられるのかもしれない。
・元ブログ:今日のご遺体