つい最近まで、お墓を建てる人は、お墓を子孫が管理してくれることを当然と考えていた。現に自分も、親も、その親も、先祖代々そうしてきたからである。
ところが、世の中をよく見渡してみると、子供がいなかったり、いても結婚していなかったり、結婚していても遠くに住んでいたりして、田舎のお墓を子孫が管理することは難しいことが多い。家観念は消えかけ、少子化と過疎化が拍車をかける。
そんな中、檀家さんから永代供養墓について相談を受けた。現在は本家のお墓を間借りしているが、このままでは申し訳ないし、かといって新しいお墓を建てても管理する人がいないという。また、法事で行く先々で、将来にわたるお墓の管理について話をすると、心配の種になっているという方が多くいらっしゃった。
そこで境内の墓地スペースを使って永代供養墓を作ることにした。跡継ぎがいなくなったお墓を毎年掃除してくれといわれても住職一人では限界があるが、ここに一緒に納骨して頂ければ、お寺が続く限り管理できるだろう。
石屋さんに相談したところ、仏像などの下にまとめて納骨するタイプと、石室の中に棚があるタイプ、外に棚があるタイプの2種類を提示され、3番目を選んだ。そして出来上がったのが写真。4階建てのお墓のマンションである。
部屋は12部屋で、骨壺が1つ入る「シングルルーム」が4部屋、骨壺が3つまで入る「ツインルーム」が8部屋ある。各部屋の石版には戒名を彫ることができる。このほかに、仏像の下に「大部屋」がある。
永代供養墓はまとめて納骨するタイプが多いが、お骨がほかの人のものと混ざるのは私は好きではない。また、土に返すという考えもしていない。お骨は仏舎利であり、一個人が人生を全うした証拠と思うからだ。そこでマンションタイプをメインにした(この辺は個人的な死生観であって、それ以外のかたちを否定するものでは決してない)。
仏像は中国の職人が写真や絵図から彫り出せるので、どんなものでもよいと石屋さんが言う。そこでインドの写真を送った。インド滞在中に最も感動した仏像であるサールナート(鹿野苑)博物館の釈迦牟尼仏である。オリジナルは細身だったが多少アレンジしてもらって、触地印を法界定印に変更。衣がセーターみたいであったかそうだ。
点眼供養はまだこれからで、その前に手前に石碑を1つ建てることにしている。石碑の言葉を現在考え中。