『戦略的思考の技術―ゲーム理論を実践する』

他人の行動によって自分の利害が変わるとき、どのようにふるまえばよいのか。リスク、インセンティブ、コミットメント、ロック・イン、シグナリング、スクリーニングと逆選択、モラル・ハザードなどゲーム理論のキーワードを、極めて身近な例をふんだんに盛り込みつつ解き明かす。
身近な例は理論を分かりやすくするだけでなく、それ自体が興味深かった。
・グーで勝ったら賭け金を10倍にするジャンケンの必勝法とは(みずから戦略的リスクを作り出す)
・病院が薬を大量に買わせる動機(インセンティブ)
・結婚指輪が高額になる理由(コミットメント)
・日本のオークションでヤフーが多い理由(ロック・イン)
・異性に容姿や服装をほめられていい気になってはいけない(シグナリング)
・1000万円からスタートして値下げしていくべきだったワールドカップのチケット
・リスクの高い人ほど保険に加入し、保険料を上げるとリスクの低い人から抜けていく(スクリーニング)
・「他店より1円でも高ければさらに値引き」とは「他店が同じか高ければ値引きしない」というシグナル
・スターバックスの成功は禁煙による差異化
・参加者が多いと予定価格を増やしてしまうオークションと、それを悪用するさくら
相手の気持ちを考えるというのは、何も道徳的見地からではなくて戦略的見地からも必要なことだと、強く思った。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。