お寺の税務

今日は朝から年末調整。お昼に大般若会の法要に出て、熱を出した母をお医者さんに送って、なんだかんだとやっているうちに夜になってしまった。
お布施は住職の懐にそのまま入ると思っている人が多いようだが、少なくとも今はそうではない。宗教法人会計に入れ、経費や預金を除いて残り一部を給与として頂く。法人税はないが、給与分の所得税は納めなければならない。
毎年この時期になって始めるのが寺日誌からエクセルファイルへの入力。○月×日、だれ某からお布施いくら、○月×日どこそこから仏前生花いくらというようにひとつずつ入力していく。すでに年末から妻が時間を見て少しずつ進めていてくれたのだが、寺日誌に記載し忘れたものを通帳や領収書から拾ったりするのに手間がかかる。
入力が終わって最後ににシグマボタンを押すのが楽しみ。収入の合計から支出の合計を引いて、さらに預金を引くと給与額が分かる。普通は給与額から計算していくものだと思うが、お寺の収入はムラがあるので事後報告の年俸制をとらざるを得ない(定額にして足りない月には貸しにしておくという手もあるらしいが)。
さて給与額が分かったら、税務署の書類に記入開始。早見表で源泉徴収税額を割り出し、続いて所得から諸控除を引いて年税額を計算。この差し引きで年末調整額を割り出し、納付書に記入する。結構面倒くさい作業で、税理士にお任せしているお寺も多いようだが、私の場合は小さい寺だし、分からないところがあれば税務署で親切に教えてもらえるのでずっと独力でやっている。
そして源泉徴収票を作成し、市町村の市民税課に送って終了。
こんなことを1日やっていると頭はお金のことでいっぱいになってしまうものだが、そんなとき思い出すのが映画『ザ・カップ/夢のアンテナ』の一場面。ワールドカップを見たくてアンテナの購入に形見の金時計を売ろうとするブータンの少年僧に、長老が「お前は金儲けが下手だな。いい僧侶になるだろう」と言う。
そう、お寺は商売ではない。利益にとらわれないことによって心の平安を求める。そのためにはあえて不器用でいたいものである。

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