『爆笑問題×東大 東大の教養』

爆笑問題が東大教養学部に殴り込み。教養とは何かを教授連や学生たちと討論したのを収めたDVD。
太田光は人類のためなどと大上段に構えるエリート教育のあり方や、世間との接点を失った象牙の塔を鋭く批判。もっと「共通の言語」で語るべきだとする。学者を、山奥で気に入らない作品を割る陶芸家に喩えたのが印象に残った。
これらに対して小林康夫教授は、基礎(知識だけでなく学問的態度)があってはじめて自発的な意欲が湧いてくることを説き、まずはしっかりした基礎を身に付ける必要を訴える。そして最後は10代後半に出会った感動が学びの核であるということで一応意見の一致を見ている。
学問に対して真摯であることと、世間に対して開かれていることの両立は難しい。蛸壺と大衆迎合のどちらでも、健全な状態ではないだろう。
この討論では、「教養」こそがその両立を可能にするものだと位置づけられていたが、「教養はどのようにして役立つか」にばかり重点が置かれ、「どんな教養が役に立つか」が触れられていないので片手落ちに感じた。
とはいえ、歯に衣着せぬ太田光の発言は鋭く、インテリぶったくらいの人間ではとても太刀打ちできない力がある。ところどころに笑いつつ、大きな刺激を受けた。
学問は本だけではない。多くの人と出逢い、さまざまなものの見方を学び、共通の言語で語ること。めまぐるしく価値観が変わっていく現代では、こうした態度がより大切になっていくのだろうと思う。
それにしても東大生、自信に満ち溢れているなぁ。私も見習いたい。

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