料理好きなお母さんの子どもは成績がよい、お父さんの読書量と子どもの成績は比例する、成績「下」の子ほど親も子も肥満ぎみ、夫婦間の満足度と子どもの成績は比例する……まあ、一般的にそうだろうなということを統計で示した本。
ただし100%そうであるということではもちろんない。成績が上の子どもで母親が料理好きというのは35.6%、成績が下だと18.9%まで下がるが、残りの6〜8割は関係ないわけで、それをあたかも料理好きと成績に因果関係があるかのように書くのは誤解を招くだろう。
料理好きでない、読書量が少ないと子どもが下流化するということではなくて、年収が少ないことが原因となって生活ぶりがそうならざるを得ず、また子どもも高等教育を受ける機会を逸するというのが本当のところのようだ。
調査の母集団が、母親が専業主婦かパートであり、正社員がほとんどいないというのも統計的に偏りを生んでいると考えられる。そのため、父親が高収入、母親が専業主婦が上流であるかのような印象を受けてしまう。
統計としては、個室があるかどうかと成績は無関係という項が印象に残った。最近、『頭のよい子が育つ家』などで成績のよい子どもは個室で勉強しないと言われ、そういう間取りの家ももてはやされているが必ずしもそうではないわけだ(まあ、そうだろうな)。
「女性は結婚しても子どもができても働き続けましょう」という風潮と手作りの食事による「食育」は相容れないこと、格差の背景には年中無休24時間営業という業種が増えたことという指摘は納得。
こういう親だと子どもの成績がいい悪いということよりも、子どもの頃の成績がどうだと今の生活ぶりがどうなのかとか、低収入でも下流化しないパターンを考察するというほうが意味があるのではないだろうか。