法事Q&A

連休中の法事の後にお話ししたことなど。
法事の時期に関して
Q:法事は命日より前にするべきだと言いますが、できない事情があるときはどうしたらよいでしょうか?
A:命日に予め家族でお参りしておけば後になってもよいでしょう。命日は故人の仏としての誕生日で、法事はその誕生祝ですから、命日近くに行うのが理想ですが、供養する人あっての法事なので、気持ちよくお参りしていただくためにも季節のよい時期を選ぶのはよいことです。
Q:祝事より先に仏事を済ませるべきだと言いますが、急に結婚が決まったときなどはどうすればよいでしょうか?
A:慌てていい加減に済ませるよりも、結婚の後で、お嫁さんや新しい親族と共に供養して頂く方がずっとよいことです。これがうちの先祖ですよと、紹介してあげましょう。
Q:法事が毎年のように続くので、次の年の法事を1年繰り上げて行うことはできますか?
A:2年連続でたくさんのお客様を呼ぶのが難しい場合など、「予修供養」を行うことはできます。ただしその場合は、次の年に家族だけででも供養をして下さい。その先祖にとっては、あくまで当該の年が本当の法事の年です。
Q:悪いことが続いて先祖の祟りだと言われたので、法事の年でないのですが先祖供養をしてもよいでしょうか?
A:法事の年でなくても供養したいときになさって下さい。ただし先祖が祟るというのは、少なくとも仏教の考え方ではありません。お亡くなりになった先祖は全て成仏していると考えます。供養は常に感謝の気持ちをもって行うべきで、悪いことが続いたからといって先祖のせいにしてはいけません。どんなに苦しいときも悲しいときも、ひっそりと守っていてくださるのが御先祖様です。そのようなことを言ってくる人は相手にしないのがよいでしょう。
法事の場所に関して
Q:お寺で法要をするのと、自宅で法要をするのとではどちらが望ましいでしょうか?
A:自宅が遠隔地にある場合はお寺でもかまいませんが、特別の事情がない限り、できるだけ自宅で行うのが望ましいです。故人の思い出が残る自宅で、いつも手を合わせているご本尊様の前で行うことが意義深いでしょう。
法事のメンバーに関して
Q:家族だけで行いたいのですが、親戚や縁者も呼ばなければいけないでしょうか。
A:故人にゆかりのある方ならば、できるだけ多くの方に供養していただいたほうが功徳がありますが、どこまでお招きするかは普段のつきあいにもよるでしょう。家族水入らずで供養するのもひとつの考え方ですが、その場合でも、家族全員が揃ってできるようにして下さい。
その他
Q:法事のお布施はいくらぐらいお包みすればよいでしょう?
A:お布施は料金ではありませんから決まりはありませんし、お寺から申し上げることではありません。自分で納得できる額を決めるべきですが、心もとなければ親戚や近所の方などから聞いて参考になさるのもひとつの手です。なおお寺ではお布施の金額は一切公表しませんし、後から少ないとか多いとか申し上げることもありません。
Q:法事は何回忌まで行うのでしょうか?
A:修行し続けることが悟りだというのが曹洞宗の教えですから、供養する人がいる限り、何回忌まででも行います。例えば道元禅師は750回忌が先年行われました。ただし、33回忌を過ぎれば以降は50回忌、100回忌と間は広がっていきます。たまたま50年に1度、100年に1度そのご先祖様にめぐり合えたという喜びの気持ちで勤めるようにしましょう。
……こんな話をしながら、つくづく日本仏教は先祖教だと思う。御先祖様を敬い、その加護を願いつつ、家族の絆を深め合うという信仰は、「愛する人も憎む人々もいない人々には、わずらいの絆が存在しない(ダンマパダ)」と仰ったお釈迦様の出家主義と相容れないところがある。血は水よりも濃いってことか。

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