ボードゲーム『スコットランドヤード』では、24ターンのうちに怪盗を捕まえなくてはならない。本小説では、主人公が24日の間に彼女を恋人にできるかというテーマで筋書きが進行する。
いわゆるトレンディドラマは全く見たこともないし、ラブロマンスなんかで感動したこともほとんどない私だが、ボードゲームつながりで読み始めたこの本、よくある男女の恋愛話だろうと高をくくっていた。
だが、物語は中盤から急展開、全く予想もつかなかったどんでん返しと、「我々は、死者とどう向き合うのか」という隠れたメッセージが心を打つ。宗教的、哲学的にも含蓄が深い。
それでいて読み口は一言会話が繰り返されて軽快、ところどころウィットに富んでいてクスッとさせるところもある。ボードゲームも、実際に何回か大事な場面で登場し、テーマと自然になじんでいる。
これがドラマ化されたら、ボードゲームが流行らないかな。