ここ数日、本堂の片付けに追われている。1日6時間以上、パズルゲーム『倉庫番』のリアルバージョン。
築40年近い住居の建て替えがだんだん現実味を帯びてきている。家族と話し合った末、再来年にしても来年にしても同じことなら早いほうがいいと、来年春の着工が濃厚。
うちのお寺の場合、山の中腹にあるので大型車両が入れない、家の裏の大木を切る必要がある、同じ場所に建てるので仮住まいのプレハブが必要、などといった状況から時間はすこしかかりそう。でも一番の問題はモノが多いということだ。
法事などの引き出物のシーツやタオルケット、私も先代も好きな本の山、祖母が唯一の気晴らしで買い集めた衣服、ものを大事にとっておく性格の母が捨てられないこまごまとしたもの。お寺だから収納スペースはたくさんあるが、その分が多いので片付けるとなると気が遠くなる。
モノを動かす順序は、1.小屋を片付けてスペースを作る、2.本堂から小屋に移して本堂にスペースを作る、3.住居から本堂に移すというスライド式。右から左に流しているだけのように感じるが、お寺なので住職の独断で捨てられないものが多い。
まずは小屋から。古くて壊れた机なんかがあるのでどんどんゴミにする。重い。小屋は蚊の大群に襲われて作業に集中しにくかった(後頭部なんかを刺される)。
次に本堂の倉庫整理。思えば祖父が亡くなった8年前以来まともに片付けたことがなく、足の踏み場もないほどにモノが詰まっている。そこを片付けるのはまるでトンネルを掘るかのよう。大般若の経本箱、前机、袈裟行李などさらに重いものが多い。ゴミもある。えっちらおっちら。
それから別の倉庫にある贈答品の布類をバザーに出品するため運び出してきた。1年に10箱でも10年すれば100箱。積み上げてみてビックリ。
慣れないこともあり夕方になることにはヘトヘトである。夜は同級生の友人と飲み。先月はビールのまずさに気づいた私だったが、肉体労働の後のビールは美味しいと分かった。同級生と言っても価値観や生き様は当然のように異なり、それが刺激になったのが美味しかった理由か。皆、苦境の中でも明確な希望をもち、しっかり前を向いて生きているのが頼もしい。この頃は夢を追い求めるというよりも現実に追いかけられているような私であるが、友人の話を聞いて大いに力づけられた。