近くのお寺さんで大般若会がある。インドに留学していたため久々の出席で不安だったので、行く前に法式の解説本を読んで予習していった。
でも、近隣のお寺さんも始まる前に導師席にあったメモを皆で眺めて確認している。年に何回もある法要とはいえ、今年初めてなので勘を取り戻さなければならないらしい。
私は「知殿」の役職を任命された。法要前に道場の準備をして、法要中はお供えするお茶やお菓子を奥から出してきたり、寄付帳を皆に配ったりする。役を与えられた若手で打ち合わせ。
しかし法要が始まってすぐハプニングが起きた。導師が法語を読み終わって進前し、焼香をするとちらりとこちらを見る。あっしまった!ここで献茶湯かぁ!慌てて茶碗にお湯を注ぐ私に冷たい視線が注がれる。
これで動転してしまって、献茶湯の後の帰位が遅れ、普同三拝が揃わなかった。だっせー。
法式の解説本には普同三拝、浄道場、献茶湯と書いてあったが、うちの周りでは献茶湯、普同三拝、浄道場の順だった。以前に導師をしたとき、浄道場で両班上首3名が進前だと思い込んで失敗したことがある。解説本のやり方は一例に過ぎず、地方によって、お寺によってやり方は少しずつ違う。確認が足りなかった。
でもこれで後は大丈夫だろうと安心していたが、転読が終わってお経を読み始めるときに次のハプニングが起きた。鐘の音に合わせて1巻ずつ転読してきたのに、まだ終わっていない人がいるのだ。
その理由は、配られたお経の数にあった。第578巻理趣分品をずっと読んでいる導師と鐘を鳴らす堂行の2人を除き、8人で600巻を転読したのだが、70巻配られた人が4人、80巻配られた人が4人いたのだった。
この責任は知殿にある。檀家さんが出してきたお経が、均等に配られていることを確認するのも知殿の役目。余った40巻は堂行に任せる。これを怠ったことで法要が終わってから注意された。
このほかにも、お茶を先にとって自分だけ飲んだり、食事中に醤油さしを回さないで黙々と食べたりして恥ずかしい思いをした。緊張したこともあるが、気配りが足りない。
次回は2月、今度はうまくやりたいものだ。