帰国

今日が帰国の日。大人2人がそれぞれスーツケースをもっているので空港までリキシャー2台が必要となった。今住んでいるところはリキシャーなど滅多に通りかからないので、自転車に乗って大通りまでリキシャーを捕まえに行く。2台を引き連れて家に戻り、荷物を載せてやっと出発となった。空港では500ルピー札しかなかったばかりに、せっかく交渉した額をふいにされてしまう。がっくり。
さて空港で最初にしたことは、紛失した電池とぬいぐるみ探しである。確認して電話すると言っておいて電話がなく、教えられた電話番号はずっと話し中だったのだ。これだけでも十分いらいらしたが、調べてもらうと「プネー空港ではお預かりしておりません」である。デリーで調べてみるのがいいということで、デリーへ。確かに、シュリナガル発デリー行きの飛行機が大幅に遅れて、デリー発プネー行きの飛行機への乗換えが一瞬だったから、デリーに止まっている可能性は十分あった。
そしてデリー。あっちにいけ、こっちにいけとたらい回しに逢い、1時間も待たされた末、電池もぬいぐるみもないと言い渡された。詳しいことを聞きたければ、入場券を買ってオフィスに行けという。ここで怒りが爆発。「紛失したのはお前たちの責任だろう! 何でオレが入場券を買わないといけないのか」「私たちは困っているあなたを助けてあげているんですよ」「助ける?! 探すのはお前たちの義務だ! オレの仕事じゃない」「でも決まりですから」もうとりつくしまがない。オフィス入口では警官が入場券を買えという。そこで事情を説明して、裏口から入れさせてもらった。
エア・サハラのオフィスでは、偉そうなおじさんがひっきりなしになる電話に応対している。しばらく待った後、また同じことを説明すると、バッターチャーリヤというこれまた偉そうな名前のそのおじさんはシュリナガル空港に電話してくれた。結果は×。見つかったら連絡するというが、諦めた方がよさそうなのは目に見えていた。電池と象のぬいぐるみだけで、ここまで時間とエネルギーを費やすのもばかばかしくなってくる。
妻と娘はその間、空港の周りを散歩していた。娘はインドで外を歩きたがらず、いつもだっこを求めるので疲れてしまう。ホテルの運転手はこの不毛な交渉の間、荷物をずっと見ていてくれた。娘にちょっかいを出していたこの運転手は象のぬいぐるみのことをまだ覚えており、紛失したことを聞いて残念そうな顔をしたという。
そんなわけで遅くなり、ホテルで休憩できたのはたった2時間ほどだった。ひと風呂浴びて国際空港に向かう。娘は今頃になって元気を取り戻し、空港で買ってもらったリキシャーのおもちゃで遊んでいる。日本航空、成田行きは定刻出発。娘は乗り込むとほどなく眠り始めた。無理やり起こして下痢止めを飲ませたら、また吐いた。これで吐いたのは旅行中3回目だ。
機内では娘が眠ったこともあってのんびり映画鑑賞。「エイリアンvsプレデター」はただのアクション映画で浅薄もいいところ。邦画の「転校生」は筋は楽しめたが台詞の言い回しがわざとなのか知らないが古臭すぎるのが気になった。その後80年代ヒットソングなどを懐かしく聴いているうち、一睡もしないで成田に着いてしまった。
体調を崩した娘に振り回された感もあるが、総じていい家族旅行になったのではないかと思っている。同じところに数日留まって、そこに住む人たちと交流することは、ただ表面を見て回るだけの観光とは違う魅力がある。妻はぜひまた行きたいと言う。帰国した頃にはすっかり元気になった娘も、写真などを見返してあれこれ言っているところをみるとまんざら嫌な旅行でもなかったようだ。

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