プネーへ

タヒル家6月に来たときと違ってほとんど観光しないままシュリナガルを後にする日が来た。しかしその分ずっと家にいたお陰でタヒル家と交流ができ、帰りはお母さんがほろりと泣いてしまう。「また近いうちに必ず来てね、今度は寒くないときに……」空港の別れは心に残った。ただ娘が最後までなつかないままだったのは残念である。
3人はデリー経由でプネーへ。見送りのみんなに手を振ってセキュリティーチェックに入ると、いきなりデジカメの電池と象のぬいぐるみを没収される。電池を没収されるのは初めてだし、まさかぬいぐるみまで取られるとは思わなかった。プネーで返すなどという。
さらに飛行機が2時間も遅れてくる。退屈していた待合所では警官が娘にチョコレートをくれたが、受け取ろうともしない。インド人恐怖症は治っていないようだ。
デリーで乗り換えた飛行機は、我々の到着を1時間30分待っていた。待合所に行かず飛行機から飛行機へ直接バスで送られる。さまざまな路線が交錯しているインド国内線は、こうして1つが遅れるとドミノ倒しに遅れていく。ほかの乗客ににらまれたがこっちの知ったことではない。
プネーに着いたのは日も暮れ始める頃だった。案の定、没収された電池とぬいぐるみは来ていない。乗り換えもぎりぎりだったし、デリーの空港で止まっているのだろうと思い、調査して電話してくれるという係の人に名刺を渡す。
プネーは25度。リキシャーの外から流れてくる風が暖かい。娘の下痢は止まっていないが、体調はこの暖かさのお陰でだいぶよくなり、家に着いてからはようやく元気を取り戻した。もしかしたら久しぶりにインド人のいない空間に来たからかもしれない。私も住み慣れた家に着いてほっとする。油断したせいか、空港にバッグをひとつ忘れてきてしまい、翌日取りに行く羽目になった。

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