近所のゴーパールさんというお宅を日本人から紹介してもらい、今週から夕食は弁当になった。
ダヴァと呼ばれる段重ねの弁当箱を家にもっていくと、奥さんがつめてくれる。野菜料理2品、スープ、チャパティ、ご飯という内容で、野菜料理とスープは日替わりだ。自分の家で食べる料理を多めに作って分けてくれるので、塩分は少な目で美味しい。日曜日を除く毎日の夕食を作ってもらって、月々300ルピー(750円)ぐらいという価格もありがたい。日本だったら一食分の値段だが、レストラン通いだと800ルピー(2000円)は下らないだろうから、お金の節約にもなる。
弁当をつめるときに「バース(もういい)?」と言いながらつめるのだが、こちらが「バース(もういい)」と言ってもさらにひとさじ余計につめてくれるので、いつも大盛りになってしまう。あっさりしているから胃もたれはしないものの、あまり食べ過ぎると太りそうだ。野菜料理ではナスやキャベツの煮物(味付けは全部カレー味)が特に美味しい。
さて、日本にいるときから咳が止まらなくて困っていた。寒くて乾燥した空気のためである。インドに来れば暖かいから治るだろうと高をくくっていたが、いかんせん空気が悪い。朝は家の前のスラムで煮炊きしている煙、道に出れば排気ガスだらけ、大学に行けばゴミ捨て場のゴミが燃えている。普段なら気にならないのだが、敏感になっているとたちまち咳が出る。その上インドに来てから久しぶりに会う人と話すことも多く、喉もやられる。夜も目が覚めてしまうありさまでつらかった。
日本では出発直前に医者に行って気管支拡張剤をもらっていたが、あまり効き目がない。ゴーパールさんの家に弁当をもらいに行ったとき、家の中でお祈りをした後の線香の煙でゲホゲホ咳き込んでいた。それに見かねたゴーパールさんが、医者を薦めてくれる。下の階に住んでいる電気屋も、同じ医者の名前を言っていたので、評判はよいだろうと思って行ってみた。
インドの開業医は、午前中と夜に診察していることが多い。午後は暑くて客足が少なくなるので、昼寝タイムとなるようだ。夜の8時に行くと待合室は結構混んでいた。受付では保険があるかも聞かれずしばらく待つ。30分ほどして診察となった。
机の上には使い終わった注射器があり、それを見て注射だけは勘弁してもらおうと思う。診察は英語で行われ、喉を見たり、聴診器を使ったりすると、処方箋を書いてくれた。これで70ルピー(175円)。薬は近くの薬屋で130ルピー(325円)。あわせて500円で全部済んだ。保険もないのにこの価格は安い。薬の内容は抗生物質、咳止め、眠り薬、シロップの4種類。
インドの医学は進んでいると言われるのであまり心配は要らないが、薬の強さはインド人仕様。早速薬を飲んだその日は、眠くなったばかりでなく腕の感覚も鈍るという強い作用だった。おかげで夜もぐっすり眠れる。咳の数は確実に減ったが、今のところ薬で無理やり押さえつけている感じ。早く治ってほしいものだ。