JRにも女性専用車両

 7月2日からJR埼京線に女性専用車両が試験的に導入されるという.全部ではなく午後11時から終電までの一番車内が荒れがちな下り電車11本.
 京王電鉄が先行して行った結果,アンケートで女性の8割,男性も6割が賛成したという.男性が賛成した理由は「痴漢に間違われなくなる」など.
 本当にそうなるだろうか.10両編成のうち女性専用車両は最後尾の1両であり,これ以外は全て男性専用車両なのではない.これに乗らない女性は他の車両に乗ることになる.他の車両に乗った女性は少し気味悪く思うかもしれない.「ああ,私は女性専用車両に乗っていない.やっぱり周りは男性が多い.女性専用車両じゃないから痴漢していいなんてことはないはずだけど,何となく嫌な空気を感じるわ…」男性の中にだって「あ,こいつ女性専用車両があるのにここに乗っている.触られてもいいつもりなんだろうか」と考える不埒な輩がいないとも限らない.そんな状況でどうして痴漢に間違われなくなることがあろうか.
 女性専用車両の出現によって,他の車両のモラルハザードが深刻化し,女性専用車両がノアの箱舟になるという可能性も否定できない.
 痴漢を物理的に根絶するには,男性専用車両5両,女性専用車両5両というような徹底した対策が必要である.そうなれば電車はもはや銭湯である.ホームに上がると男性は「男」と書いてあるほうへ,女性は「女」と書いてある方へ移動する.家族で乗ってもお父さんは「男」へ,お母さんは子供と「女」へ.公共の場で男女の区分が徹底されるならば,日本は神なきイスラム国家になってしまう.あるいは男を触る痴漢もいるそうなので、根絶はできないかもしれない。
 これが現実的であるとは思われない.「お互いに労りあう心がけが大切」などと小学校の学級会のようなことを言っても始まらないだろう.対策は2つ,まずJRが本数を増やすこと.これはもう無理かもしれないし,我々にはどうしようもない.そうだとしたら2つ目の対策は乗らないこと,すなわち混む電車に乗らないような生活に変えることである.痴漢に間違われないようにあれこれ気をつけていても事故は必ずある.痴漢に間違われて冤罪を晴らすために一生を棒に振るよりは,早く田舎にUターンでもして通勤に苦労しない快適な生活を送った方が確実に幸せだ.
 もはや「通勤地獄」以上になっているこの事態からの脱出,これを機に本気で考えてみてはどうだろう.

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