笑顔が優しく,柔和で誰からも愛されていた方が亡くなった.まだ若かったがとても幸せそうな死に顔だった.その方は若いときから病気がちであったが,逆にその病気がその方の思いやりあふれる性格の糧になったとも言える.健康な人はしばしば健康のありがたみを忘れ,自分一人で生きているような傲慢に陥りやすい.
しかしこのように逆境を乗り越えられるのは稀なことかもしれない.自分が置かれた逆境に強い不満を持ち,まるで自分だけが不幸であるかのようにして,自分の未来をコンプレックスの渦に巻き込んでしまう人もいるだろう.自尊心が高くて,臆病で,無思慮で,人の痛みをわかることができない.
逆境に立たされたとき,挫折を味わったとき,私はそれを自らの糧にしていくことができるだろうか.自分の弱さがとてももどかしく感じられた.ご冥福を心から祈る.
涙落青山紅滴々
打胸幾度哭蒼天