だんまぱだ

愚かな人と長い道のりを歩くのは,心が安まらない.愚かな人と住むのは,常に辛い.−仇敵と住むようなものである.
心ある人と住むのは楽しい.−親族に出会うようなものである.(ダンマパダ207)
「愚か者」とは,学のないものという意味ではなく,自己中心に生きている人,自分さえよければ他人などどうでもよいという人である.そのような人と住めば,自分ばかりが傷つく.
「心ある人」とは他人のことを思いやりながら自分を立てている人である.お互いに相手の立場や考えを知り,心を通い合わせながら一緒に暮らしていくことは楽しい.
この2つの対句には落とし穴があるように思われる.非常にわかりやすいこの格言が,自分を愛する人とだけ交際し,自分と相容れない人と交際しないという人間の取捨選択を述べていると考えるならば,それは危険である.
「怨憎会苦」という言葉がある.愚かな人と住む苦しみである.しかしこれは,愚かな人との接触を断つことによって解消されるものではない.それではどんどん自分を孤独に追い込んでいくことになるだろう.
この格言は「人を選べ」ということを教えるのではなく,あくまで自分が「愚かな人」ではなく「心ある人」であれということを教えているのだ.さらにこれを皆が実践し達成すれば,すばらしい世の中になるという釈尊の壮大な世界計画であろう.
自分が変わらなければ状況は全く変わらないのだ.
(この文は奈良先生の引用をもとに考察したものである)

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