『反「道徳」教育論』

「人に迷惑かけてない」という理由で正当化される電車内での化粧や雄言不実行、「価値の多様性」「人間らしさ」「生命の尊重」というキレイゴト教育を一刀両断。「己の美学」をキーワードに自律的な道徳を提示する。
感動を求める立会い出産、かたちばかりのボランティア、先天的な障害が判明したときの中絶、臓器移植、機会と結果を混同した平等主義、内容が吟味されていない教育勅語、子どもに苦しい選択を強いる夫婦別姓、トリックだらけの死刑廃止論と、具体的な問題に踏み込み考察を加えている。
「己の美学」に従うと(特にジェンダーについて)保守的になるのは必然なのか疑問であるが、親として「いじめられたら先生や親にすぐ相談しなさい」と教えるだけでなく「もしお前が友達をいじめたとして、そのいじめが原因でその子が自殺したとしたら、お前は必ず自分の命で償わねばならない」と付け加えるというような心構えは確かに必要なことだろうと思った。
夫婦別姓論者と死刑廃止論者に対して、その根拠をひとつひとつ崩していく反論が見もの。再反論の余地もありそうなので、議論の深まりに期待したい。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。