『脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!?』

海馬の研究をしている薬学者による、最新の脳研究を分かりやすく解説した本。著者が『プレジデントファミリー』で「頭がよくなる玩具」特集に登場していたことから、どのように頭がよくなるのか知りたくて読んだ。
動物実験などのデータに基づいた人間の行動の傾向を、脳機能から説明していくと妙に説得力がある。それはあくまで傾向であって全ての人間に当てはまることではないのかもしれないけれど、ある程度までは普遍的だと知ることは有意義である。
「重要なのはストレス解消ではなく、解消する方法を知っていること」の項は深く共感。実験では、ストレスホルモンを増やす薬を点滴するのだが、注射量を調節できるボタンを用意しておくだけで、実際にボタンを押さなくてもホルモンが上昇しないという報告が紹介されている。「つらくなっても、オレにはこれがある」という思いが大事なのだ。趣味をもつことの大切さ。
そのほか、
・最初に言った意見をすぐに曲げないという行動は自己維持の本能に由来する
・仕事のできる能力は好奇心や注意力と関連する
・サルもギャンブル好き
・人が痛がっているのをみるだけで反応する「同情ニューロン」が見知らぬ他人の場合は反応しない
・意思が生まれる前に脳が活動を始めるので人間に自由意志はない(でも行動を思いとどまることは自由にできる)
・歳をとっても知的好奇心や注意力があれば記憶は衰えない
など、興味深いトピックがいっぱい。
また脳とコンピュータをつなぐ神経補綴学、遺伝子を解析してその人にぴったり合った薬を出せるようになる薬学など、最先端の研究も楽しい。
脳を活性化させるべく、さまざまなものに好奇心をもっていきたいなと思った。

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