葬儀屋さんの司会

このところ田舎にも葬儀屋さんがだいぶ進出してきた。近所で互助的にやっていたところが、地域コミュニティが崩れ始め、同時に各家が経済的にも力をつけているため、お金を出して葬儀屋さんにお願いした方が何かと楽になってきたのである。
その結果、これまでは町内会長(隣保長)がしていた葬儀の司会も葬儀屋さんが取り仕切ることが増えてきた。餅は餅屋、葬祭コーディネーターという資格もあり、ソツがない。だが今日のお葬式の司会は正直いただけなかった。
若い人だったが、葬儀が始まるまでは方言まじりの愛嬌ある声で客に声をかけている。ところが開式前になると突然、しんみりとした口調になって覚えてきたような口上を述べ始めた。そのクサイことクサイこと。聞いていて恥ずかしくなり、笑ってはいけないとついうつむいてしまうほどだった。
司会は式の進行を円滑に進めることが仕事であって、場を変に盛り上げようとしたり、あまつさえ説法を始めたりすべきではないと思う。自分のカラーを出さずに粛々と進めるのが望ましい。司会とは元来そういうものだし、それを逸脱すれば少なからず違和感を生み出し、式を滑稽なものにしてしまう恐れがあるだろう。
一方、私も反面教師にすべき点があった。それはあまり演出めいたことをしすぎないこと。演出が遺族の心にヒットすればよいが、そうでなかったら式が一気に白けてしまう。そんな小手先のテクニックに腐心するよりも、誠心誠意務めることを第一としたい。

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