日本からインドに戻ってきてすぐの数日は、一番インドらしさを体感できるような気がする。不動産屋のプラモードではお土産がないことで非難され、新聞紙を集めに来る子どもにはとうの昔に終わったホーリーのバクシーシを要求された。飲料水配達のグッドウィルは届けるまで4回も電話したし、シュクラ先生の家では蚊に6ヶ所刺された。今日はバスがストライキで全休の上に日中11時間の停電。そして一番が日中40度を超す暑さで、外を歩くとまるで火のすぐそばにいるようだ。それでもここはまだましな方で、インド内陸部中央に位置するナグプールでは最高気温が48度をマークし、人や動物が死んでいるという。
でも嫌なことばかりではない。朝から漂ってくるニンニクを炒めた香りで食欲を刺激され、日本では手に入らないオレンジ色のマンゴー※1に舌鼓を打ち、名前も知らない真っ赤な花を眺め、夜に流れてくる近所の歌を聞く。サトウキビやニラーのジュースもうまい。日本では100円単位で減っていくお金が、こちらではせいぜい10円単位だ※2。朝起きてベランダに出ると、前の家の家族がみんな屋上に寝ているのを見て笑った。
11月にコルカタで頼んでいた写本のコピーがやっとできあがって送られてきた。半年かかったことになるが、その分とても嬉しい。暑いけれど勉強に打ち込もう。一寸の光陰軽んずべからずだ。
※1 日本でよく売られているマンゴーはフィリピン産の黄色いもの。味が薄い。
※2 今朝の朝食はポーヘーとチャイで20円、シックスシーターが10円、路上で飲んだニラーのジュースが10円、トマトとオクラとタマネギが全部で35円。